
エレベーターの夢は、同じように人を上下に運ぶ階段やエスカレーターの夢とは、また少し違った意味合いを持っています。
自分の足で一段ずつ上る階段や、景色を見ながらゆっくり進むエスカレーターに対して、エレベーターは、扉が閉まった箱の中で、一気に別の階へと運ばれていく乗り物です。
そのため夢占いでは、急な運気の変化や、自分ではコントロールしにくい状況の移り変わりを映すとされています。
扉が閉まるときの小さな音、足もとがふわりと浮くような感覚。夢の中のエレベーターがどこへ向かい、どんなふうに動いていたのかを手がかりに、意味を読み解いていきましょう。
エレベーターの夢の主な意味
- 運気や立場が、短いあいだに大きく変わっていくサイン
- 上がる夢は運気の上昇、下がる夢はやり方の見直しを示しやすい
- 閉じこめられる・止まる夢は、身動きが取れない不安の表れ
- 来ない・乗れない夢は、チャンスを逃すことへの焦り
- 知らない人と乗る夢は、人との距離感への意識を映す
基本の意味
エレベーターは、ボタンを押せば、あとは箱が自分を目的の階まで運んでくれる乗り物です。そのため夢の中のエレベーターは、自分の努力だけでは動かせない、運や環境、周りの人の力によって状況が大きく変わっていくことを象徴するとされます。
スムーズに上がっていく夢なら、仕事や人間関係で評価が高まり、運気が一気に上向いていく吉兆。
反対に、止まったり、閉じこめられたりする夢は、いまの状況から抜け出せないもどかしさや、先が見えない不安を映しています。
閉ざされた空間で移動するという性質から、夢の中で感じた安心感や息苦しさが、そのまま、いまのあなたが変化をどう受け止めているかを表していることも多いでしょう。
心理学的見解
アメリカの文化人類学者エドワード・ホールは、人が他人とのあいだに保とうとする距離に注目し、親しい人だけを受け入れる距離、友人や知人と話す距離、見知らぬ人と保つ距離といったように、人の周りには目に見えない「パーソナルスペース」があることを示しました。
エレベーターは、その距離が保てない、数少ない場所の一つです。見知らぬ人と肩が触れそうなほど近くに立つため、多くの人は無意識に扉の上の表示を見つめ、互いに目を合わせないようにします。
現代的な夢の見方に立てば、エレベーターの夢で感じた窮屈さや気まずさは、現実の人間関係の中で、自分の領域が守られていないと感じている心の表れだと読むことができます。
夢の中で誰と乗っていたかに目を向けると、いま距離の取り方に悩んでいる相手が見えてくるかもしれません。
ちなみに日本で初めての電動式エレベーターは、1890年、東京・浅草に建てられた十二階建ての展望塔「凌雲閣」に設けられたといわれています。
人々はその珍しさに驚きましたが、安全面の心配などから、まもなく運転が止められてしまいました。
見知らぬ箱に身をゆだねて高い場所へ運ばれることは、当時の人々にとって、期待と不安が入り混じる体験だったのでしょう。
状況別の意味
エレベーターで上がる
エレベーターで上の階へ上がっていく夢は、運気の上昇や、地位や評価が高まっていくことを示す吉夢です。
これまでの努力が認められ、思っていたより早く、次の段階へ進めるのかもしれません。上がっているあいだ気持ちが明るかったなら、その流れを素直に受け取ってよいサインです。
上へ向かう夢全般については上がる・登る夢もあわせて読み、チャンスを活かす準備を整えておきましょう。
エレベーターで下がる
エレベーターで下の階へ下がっていく夢は、運気が一時的に落ちつくことや、いまのやり方を見直す時期を迎えていることを表しています。
焦りや失速を感じているのかもしれません。ただ、下の階に降りることは、地に足をつけて現実を確かめることでもあります。
気持ちよく降りられたなら、休息や整理の時間が必要だというサインです。予定を少し減らし、足元を固めることを意識してみてください。
エレベーターが急上昇する
エレベーターが驚くほどの速さで上昇していく夢は、物事が急に動き出し、大きなチャンスや変化が一気に訪れることを示しています。
昇進や抜擢など、思いがけない展開があるかもしれません。ただ、夢の中で怖さを感じていたなら、変化の速さに気持ちが追いついていない状態です。
うれしい知らせほど、慌てて決めずに一呼吸おいてから受け止めると、勢いを上手に味方につけられます。
エレベーターに閉じこめられる
エレベーターに閉じこめられて出られない夢は、いまの環境や人間関係の中で、身動きが取れないと感じていることを表しています。
仕事や家庭の事情に縛られて、自分の思いどおりに動けないもどかしさがあるのでしょう。閉じこめられて慌てていたなら、強いストレスがたまっているサインです。
一人で抱えこまず、状況を誰かに話すだけでも、閉じた扉が少し開くように、気持ちが楽になります。
エレベーターが途中で止まる
動いていたエレベーターが、途中で急に止まってしまう夢は、順調に進んでいた計画が、思わぬところで足止めされることへの不安を示しています。
頼りにしていた人や仕組みが、うまく機能しなくなるのではと心配しているのかもしれません。止まったエレベーターの中で落ち着いていられたなら、冷静に対処できる力がある証拠です。
いまのうちに、代わりの手段や相談先を確かめておくと安心です。
エレベーターがなかなか来ない
ボタンを押してもエレベーターがなかなか来ない夢は、チャンスを待ち続けているもどかしさや、物事が思うように進まない焦りを表しています。
周りのペースに合わせて、自分の番を待ちすぎているのかもしれません。待っているあいだにイライラしていたなら、少し肩の力を抜くことが必要です。
来ないエレベーターを待つより、階段を使うように、自分の足で進める方法がないか考えてみましょう。
エレベーターに乗り遅れる
目の前でエレベーターの扉が閉まり、乗り遅れてしまう夢は、チャンスを逃すことへの不安や、周りに置いていかれる焦りを表しています。
決断をためらっているうちに、機会が過ぎてしまうのではと心配しているのでしょう。乗り遅れたあとに次のエレベーターを待てていたなら、チャンスはまた巡ってくるというサインです。
迷っていることがあるなら、小さくても今のうちに一歩を踏み出してみてください。
エレベーターが満員で乗れない
エレベーターが満員で、自分だけ乗れない夢は、周りとの競争に疲れていることや、自分の居場所がないと感じる寂しさを映しています。
人気のある場所や、みんなが目指す道に、自分が入りこむ余地がないように思えているのかもしれません。
けれど、満員のエレベーターに無理に乗る必要はありません。人の少ない別の道に目を向けると、思いがけず自分に合った居場所が見つかることがあります。
エレベーターが目的の階に止まらない
ボタンを押したのに、目的の階を通り過ぎて止まってくれない夢は、自分の望みと、実際に進んでいく方向がずれていることを表しています。
周りの流れに運ばれて、本当に行きたい場所から離れているように感じているのでしょう。止まらないことに焦っていたなら、一度立ち止まって、自分がどこへ向かいたいのかを確かめる時期です。
目標をあらためて紙に書き出してみると、進む方向が整っていきます。
知らない階に着く
エレベーターの扉が開くと、見たことのない階や不思議な場所に着いていた夢は、思いがけない変化や、新しい世界への入口が開かれることを示しています。
戸惑いながらも、どこかわくわくしていたなら、未知の環境に飛びこむ準備ができている吉兆です。
反対に、怖くて降りられなかったなら、変化への不安が強くなっています。いきなり大きく動かず、新しいことに少しずつ触れてみるとよいでしょう。
ボタンを押しても動かない
エレベーターのボタンを何度押しても反応しない夢は、自分がどれだけ働きかけても、周りが応えてくれないと感じている状態を表しています。
頑張っているのに結果につながらず、無力感を抱えているのかもしれません。ボタンを押し続けていたなら、やり方を変えるタイミングを知らせるサインです。
同じ方法をくり返すより、相談する相手や伝え方を変えてみると、状況が動き出すことがあります。
エレベーターの扉が開かない
目的の階に着いたのに扉が開かない夢は、目標の手前まで来ているのに、最後の一歩が踏み出せないもどかしさを表しています。
何かが心の中でブレーキをかけているのかもしれません。扉の前で落ち着いていたなら、時間が解決してくれる問題です。
焦って扉を叩いていたなら、プレッシャーが強くなっています。自分にとって何が扉を閉ざしているのかを、静かに考えてみてください。
エレベーターの扉に挟まれる
閉まりかけたエレベーターの扉に挟まれる夢は、二つの選択肢や人間関係のあいだで板挟みになっていることを表しています。
どちらの期待にも応えようとして、身動きが取れなくなっているのでしょう。痛みを感じていたなら、無理を重ねているサインです。
すべての人を満足させることはできません。自分にとって大切な方を一つ選び、もう一方には率直に事情を伝えてみてはいかがでしょうか。
知らない人と二人きりで乗る
見知らぬ人とエレベーターで二人きりになる夢は、新しい出会いや、人との距離の取り方への戸惑いを表しています。
相手に親しみを感じていたなら、思いがけない縁が生まれる暗示です。気まずさや緊張を感じていたなら、職場や近所など、身近な人間関係の中で、自分の領域を守りたいという気持ちが強くなっているのでしょう。
無理に打ち解けようとせず、心地よい距離を大切にしてみてください。
好きな人と一緒に乗る
好きな人や恋人と一緒にエレベーターに乗る夢は、二人の関係が進展していくことへの期待を表しています。
上がっていくエレベーターだったなら、恋愛運が上向き、距離が縮まっていく吉兆です。密室で二人きりのドキドキした気持ちは、関係を一歩進めたいという願いの表れでもあります。
夢の中で交わした言葉を覚えているなら、それが相手に伝えたい本音かもしれません。素直に言葉にしてみましょう。
エレベーターが横や斜めに動く
エレベーターが上下ではなく、横や斜めに動き出す夢は、予想もしなかった方向から変化が訪れることを示しています。
決まったルートを外れて、新しい可能性が開けていく暗示です。驚きながらも楽しんでいたなら、柔軟な発想が冴えている時期です。
不安だったなら、変化に戸惑っているのかもしれません。人の動き方とは違う乗り物の夢についてはエスカレーターの夢もあわせて読み、違いを確かめてみてください。
まとめ
エレベーターの夢は、運気や立場が大きく動いていく変化と、その変化に身をゆだねる自分の気持ちを、同時に映し出す夢です。
上がる夢や、知らない階へ運ばれる夢は、新しい可能性が開けていく明るいサイン。閉じこめられる、来ない、扉が開かないといった夢は、身動きの取れなさや焦りに気づくきっかけを与えてくれます。
夢の中でエレベーターの扉が開いたとき、どんな景色が見えたかを、ひとつだけ思い出してみてください。
その景色が、いまのあなたが心の奥で向かいたがっている場所なのかもしれません。
この夢をもとにした、SF仕立ての創作ストーリーはこちらの夢物語でお楽しみいただけます。
ホールのパーソナルスペースやゴッフマンの「儀礼的無関心」、オーチスの安全装置の実演や日本のエレベーターガールの歴史をもっと深く知りたい方は、こちらの夢ことほぎ記事もご覧ください。
よくある質問
上がる夢や止まる夢と、エレベーターが落ちる夢では、読み方が変わりますか?
エレベーターが落ちる夢は、エレベーターの夢の中でも特に印象が強く、急な状況の変化や、頼っていたものを失うことへの不安を映しやすい夢です。
上がる、止まる、閉じこめられるといった場面とは、心が感じている怖さの種類が少し違います。落ちる夢を見た場合は、どこまで落ちたのか、途中で止まったのか、無事だったのかによって意味が変わるので、その場面を丁寧に思い出してみてください。場面ごとの意味はエレベーターが落ちる夢で詳しく解説しています。
エレベーターの中で、ずっと階数の表示を見つめていた夢には意味がありますか?
階数の表示から目が離せなかった夢は、物事の進み具合や、自分がいまどの位置にいるのかを、とても気にしている状態を映していると読むことができます。
数字が思うように変わらなかったなら、成果が見えないことへの焦りが強くなっているのかもしれません。
また、表示を見つめるのは、狭い箱の中で人と目を合わせずに済む、心の逃げ場でもあります。周りとの距離に疲れていないかも、あわせて振り返ってみてください。

