自然(緑)の量が精神に影響を与えている?
あなたは子供の頃にどんな場所で過ごしていましたか?
都会的な場所で過ごした、田舎で過ごした、海の近くだった、山の近くだった……などなど育った環境は様々あると思います。
今回はそんな環境の中でも、特に自然の多さ、緑地の多さについての研究調査のお話です。
ある研究によると、自然、緑地の多いところで子供時代を過ごした人とそうでない人では、その後の人生において、精神疾患になる確率に大きな違いが見られた、というのです。
どんな研究がされたのか?
デンマークのオーフス大学の研究者達は1985年〜2013年までに撮影された衛星写真を使い、0歳〜10歳までのデンマーク人の子供94万3027人がどれくらい緑地近くで暮らしていたのかがわかる地図を作成し、対象者のメンタルヘルス、社会経済的な状況、居住地といった時系列的データを集めました。
そして、子供たちの「緑地へのアクセスのしやすさ」「メンタルヘルス」とを比較しました。この結果、精神疾患と緑地へのアクセスのしやすさとの間には顕著な関連性が見つかったそうです。
研究を行ったKristine Engemann氏は「子ども時代に一貫して緑で囲まれた環境で育つと、後の人生で精神疾患になるリスクは低くなります」と述べています。
その結果、最も緑地レベルの低い場所に暮らす子どもたちは、緑地レベルの高かった子どもたちに比べ、他のリスク要因を考慮しても精神疾患にかかるリスクが55%も高かったそうです。
大人になった状態で、今どんなところに住んでいるのか? ではなくて、子供の頃にどんな場所で過ごしていたのか? ということに注目しているのね。
今の状態ではなく、過去過ごした場所が今に影響を与えているって、何だか不思議で面白いわよね。
なぜ自然の多いところが良いのか?
なぜ緑地の多い環境の子供が精神衛生上良い結果を生むのか? ということに関しては今のところ不明だそうです。
考えられることとしては、
1・自然の近くで暮らすことで運動する機会が増える
2・自然が近くにあると社会的な強まる傾向にある
が考えられるのではないかとのこと。
つまり、子供の頃に自然の多い場所にいれば、自然と運動をしたり、友達と協力したり、遊んだりする経験が増える。これが後々までにも精神的に良い影響を与えそう……ってことね。
自然がなくてもそういう機会は設けられそうだけど、自然があることでよりスムーズにそれがら促されるってことになるのかな?
この他にも自然の多い場所にある学校に通う子供は、少ないところに通う子よりも認知が発達している、という研究結果もあるみたい。
自然があることで、色々な刺激を受けることができるのかもしれないわね。
自然が多いのが良いのではなく、少ないのが悪い?
上述のEngemann氏は「都会の環境は人間が『ストレスフル』だとみなすものの典型です」と述べ、汚染された空気や感染症、社会経済環境の貧しさなどが精神疾患の発達リスクを増加させているとしました。
また、都会は子どもたちがストレスを解消させるような場所が少ないことも挙げられます。
学校から帰った後に体を動かして遊べる庭や公園があると、ストレスが溜まり知的能力が低下をしていても、すぐに回復できるようになるとも述べています。
確かに体を動かすことは心の健康に関連しているだろうし、脳への刺激にもなるだろうから子供の発達には大きく関係してくるとは思うけど、都会には都会の良さがあるわよね。
便利で通いやすい病院や大きくて資料の揃っている図書館、文化的な催しや公共サービスなんかは都会の方が充実していると思う。これらに触れることができるのも、子供の精神発達には良い影響を与えるんじゃないかしら?
まとめ
Engemann氏は「緑地が単なる飾りではなく、人が暮らす上で有益な価値のあるものだと認識されることが大切です」と述べ、人と緑のつながりに着眼した都市デザインを重視すべきと主張しています。
都市が発展していくとどうしても高密度化して緑地が減っていってまいますが、そういった所から得られる便利さは人間の心に思わぬ負担をかけてしまう可能性がある、ということかもしれませんね。
適度に自然があって、体を動かせて、周囲との人間関係を適度に築ける環境。
できれば、これらが子供の頃に整っている方が、将来に渡って心の健康を保つのに役に立つ、かもしれないというお話でした。
皆さんはこのお話どう感じましたか?
このお話が、あなたの一考の一助になれば幸いです。
それではまた別のお話でお会いしましょう。
The growing evidence that living near green space helps kids grow up to be happier
コメント