
缶詰の夢が持つ基本的な意味については、こちらの夢占い記事で解説しています。
この記事では、なぜ缶詰が、夢の中で「未来への備え」と「しまいこんだまま手放せないもの」という二つの顔を見せるのかを、未来の自分とのつながりと、持っているものを手放しにくい心を見つめた二つの研究と、缶詰が人々の命や夢を支えてきた歴史から、掘り下げてみます。
未来の自分に会うと、備えたくなる
一つ目の視点は、アメリカの心理学者ハル・ハーシュフィールドらです。ハーシュフィールドらは2011年、参加者に、コンピューターの画面の中で、年をとった自分の姿を見せる実験を行いました。
白髪が増え、しわの刻まれた、数十年後の自分です。そのあとで、手もとのお金を、いま使うか、老後のために積み立てるかを選んでもらうと、未来の自分の姿を見た人たちは、そうでない人たちよりも、多くのお金を将来のために回したのです。
人は、未来の自分を、どこか他人のように感じてしまいがちです。けれど、その姿をありありと思い描けたとき、私たちは、未来の自分のために備えようとするのです。
手にしたものを手放せない「保有効果」
二つ目の視点は、アメリカの心理学者ダニエル・カーネマンらです。カーネマンらは1990年、学生たちを二つに分け、片方のグループにだけ、大学のマグカップをプレゼントしました。
そして、マグカップをもらった学生には「いくらなら売るか」を、もらっていない学生には「いくらなら買うか」をたずねました。
すると、マグカップを持っている学生がつけた値段は、買う側の学生がつけた値段の、およそ二倍にもなったのです。
人は、いったん自分のものになったものを、実際以上に価値のあるものと感じて、手放しにくくなる。
これは「保有効果」と呼ばれています。
ハーシュフィールドらが「未来の自分のために、いまを蓄える心」に目を向けたのに対して、カーネマンらは「一度手にしたものを、手放せなくなる心」に目を向けたといえるでしょう。
棚いっぱいの缶詰、捨てられない缶詰
缶詰の夢で、棚いっぱいに缶詰を並べて安心していたなら、あなたの心は、未来の自分を守るための備えを、確かなものにしたいと願っているのかもしれません。
古い缶詰を、捨てられずに抱えていたなら、もう必要のないものや思いを、手放す時期が来ているのかもしれません。
では、缶詰は、人々の暮らしの中で、どのような役割を果たしてきたのでしょうか。
探検隊を支え、悲劇も招いた缶詰
缶詰は、遠くへ旅する人々の命を支えてきました。十九世紀、北極の航路を探しに出たイギリスのフランクリン探検隊は、大量の缶詰を積んで出航しました。
ところが、探検隊は消息を絶ち、のちに、缶のつなぎ目に使われていた鉛による中毒が、悲劇の一因になったのではないかという説が唱えられました。
この説には、近年の研究で異論も出ています。それでも、缶詰が、未知の土地へ向かう人々の大切な備えだったことは確かです。
いわしの油漬けと、宇宙へ届いた高校生の夢
日本では、明治時代のはじめ、長崎の松田雅典が、フランス人の教師から製法を学び、いわしの油漬けの缶詰をつくりました。
これが、日本の缶詰づくりの始まりの一つとされています。そして二十一世紀、福井県の若狭高校の生徒たちが十年以上かけて開発した「サバの缶詰」が、宇宙食として認められ、宇宙飛行士の野口聡一さんが、国際宇宙ステーションで味わいました。
高校生たちが缶に詰めたのは、食べ物だけではなく、先輩から後輩へと受け継がれてきた、長い年月の夢でもあったのです。
災害のときに人を支える備え
缶詰は、災害のときにも人々を支えてきました。電気やガスが止まっても、缶を開ければ、そのまま食べられる。大きな地震や台風のたびに、缶詰は、避難所で不安な夜を過ごす人々の、心強い味方になってきました。いまでは、パンやごはん、デザートまで缶に詰められ、長いものでは何年も保存できるようになっています。
未来の自分のために、いまを蓄える心と、一度手にしたものを手放せなくなる心。極地の探検隊を支え、やがて宇宙にまで届いた缶詰。缶詰の夢は、あなたがいま、未来の自分のために何を取っておきたいのか、そして、何をそろそろ開けて、手放してもよいのかを、そっと問いかけているのかもしれません。
ここまでの内容をもとにした創作ストーリーは、こちらの夢物語でお楽しみいただけます。
よくある質問
缶詰の夢を見てから、将来のことを考えるようになりました。
缶詰の夢のあとに将来のことを考えるようになったなら、あなたの心が、未来の自分とのつながりを感じはじめているサインと読むことができます。
ハーシュフィールドらの研究が示すように、未来の自分の姿を思い描くことは、いまの行動を変える力になります。
十年後の自分に向けて、手紙を書いてみるのもよいでしょう。何を備えたいのかが、自然と見えてきます。
古い缶詰を、どうしても捨てられない夢でした。
古い缶詰を捨てられない夢は、もう必要のないものや、過去の思いを、手放しにくくなっている心の表れと読むことができます。
カーネマンらの保有効果のように、人は、一度手にしたものを、実際以上に大切に感じてしまうものです。
身の回りの物を一つ選んで、本当にいまの自分に必要かどうか、問いかけてみてください。手放すことで、新しいものを迎える場所が生まれます。

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