【夢ことほぎ】筋トレの夢の心理学的意味|由来・背景

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【夢ことほぎ】筋トレの夢の心理学的意味|由来・背景

昨日より少しだけ重いものを今日は持ち上げてみる。筋トレの基本はたったそれだけのくり返しです。けれど、その「少しだけ」を積み重ねるという考え方には、古代ギリシャの伝説から、日本の村の若者たち、戦争で傷ついた兵士の回復まで、長い物語がありました。人はなぜ重いものを持ち上げて自分を試してきたのでしょうか。

場面ごとの夢の意味は、筋トレの夢の夢占い記事にまとめています。

子牛を担ぎ続けた男

花の咲く草原に立つ茶色い子牛

紀元前6世紀、南イタリアのギリシャ植民市クロトンに、ミロンという名のレスリング選手がいました。古代オリンピックで何度も優勝した、伝説的な力持ちです。

ミロンには有名な言い伝えがあります。生まれたばかりの子牛を毎日担ぎ続け、子牛が大きな牛に育つまで、それをやめなかったというのです。子牛は日ごとに少しずつ重くなります。ミロンの体もその重さに合わせて少しずつ強くなっていきました。オリンピアの競技場で、牛を肩に担いで歩いてみせたという話も伝えられています。

もちろん、これは史実というより伝説です。それでもこの話は、二千年以上たった今も、トレーニングの世界で語り継がれています。負荷を一気に上げるのではなく、体が慣れるのに合わせて少しずつ重くしていく。その考え方を、これほどわかりやすく伝える物語はないからです。

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毎日少しずつ重くなるから、毎日少しずつ強くなれる。

ミロンの子牛は、成長のいちばん正直な先生ね。

神社に残る力石

日本にも、重いものを持ち上げて力を試す文化がありました。各地の神社の境内に残る「力石(ちからいし)」です。

力石は両手で抱えるほどの大きな丸い石です。江戸時代から明治時代にかけて、村の若者たちはこの石を持ち上げて、力くらべをしました。埼玉県さいたま市の上峰諏訪神社には、安永4年(1775年)の銘が刻まれた力石が2つ残されています。重さは40貫目(約150キログラム)と28貫目(約105キログラム)です。

力石を持ち上げることは、ただの遊びではありませんでした。地域によっては、一人前の大人として認められるための通過儀礼でもあったといわれます。そして石は神社に奉納され、村の人々の信仰とも結びついていました。重い石を持ち上げる若者の姿は、自分の力を神さまと村の人々の前で示し、大人の仲間入りをする瞬間でもあったのです。

傷ついた兵士を立ち直らせた方法

20世紀に入ると、重いものを持ち上げることは、医療の現場で注目されるようになります。

第二次世界大戦のころ、アメリカの陸軍病院は、けがをした兵士であふれていました。当時のリハビリでは、軽い砂袋を持ち上げるような、負担の少ない運動が中心でした。けれど、なかなか筋力が戻りません。

そこで陸軍の医師トーマス・デロームは新しい方法を試します。患者がぎりぎり10回持ち上げられる重さを使い、筋力の回復に合わせて重さを増やしていくやり方です。デロームは1945年にその成果を論文にまとめ、のちに「漸進的抵抗運動(ぜんしんてきていこううんどう)」と名づけました。この方法はリハビリの標準となり、今の筋トレの基本的な考え方にもつながっています。

ミロンの子牛の伝説が、二千年あまりの時をへて、医学の言葉で確かめられたともいえるでしょう。

体を鍛えると、心も軽くなる

筋トレの効果は体だけにとどまりません。2018年には、筋トレと気分の落ちこみとの関係を調べた33の研究をまとめた分析が発表されました。その結果、筋トレを続けた人は気分の落ちこみが軽くなる傾向があることがわかっています。

体を鍛えることは、「自分にもできた」という小さな手ごたえを、毎日積み重ねていくことでもあります。昨日より一回多く、昨日より少し重く。その手ごたえが、心の支えにもなっていくのでしょう。

夢に戻る

子牛を担ぎ続けたミロン。力石に挑んだ村の若者たち。そして、少しずつ重さを増やして兵士を立ち直らせたデローム。重いものを持ち上げる人の姿には、いつも「今の自分を少しだけ超えたい」という願いがありました。

夢の中で筋トレをしていたなら、あなたの心も今何かを持ち上げようとしているのかもしれません。軽々と持ち上げられたなら力がついてきたしるし、重くて持ち上がらなかったなら、負荷を少し下げる時期です。夢から覚めたら、今の自分にとっての「子牛」が何なのかを考えてみてください。毎日担ぎ続けられる重さを選ぶことが、力をつけるいちばんの近道です。

夢の中で、日ごとに大きくなっていく子牛。

筋トレの夢をめぐる創作ストーリーは、こちらの夢物語で読むことができます。

参考文献

  • ブリタニカ百科事典「Milo of Croton」(https://www.britannica.com/biography/Milo-of-Croton)
  • さいたま市「文化財紹介 上峰諏訪神社の力石」(https://www.city.saitama.lg.jp/004/005/006/001/019/003/003/p000471.html)
  • DeLorme, T. L.(1945)「Restoration of Muscle Power by Heavy-Resistance Exercises」『Journal of Bone and Joint Surgery』27巻
  • Todd, J. S., Shurley, J. P., & Todd, T. C.(2012)「Thomas L. DeLorme and the Science of Progressive Resistance Exercise」『Journal of Strength and Conditioning Research』26巻11号
  • Gordon, B. R. ほか(2018)「Association of Efficacy of Resistance Exercise Training With Depressive Symptoms」『JAMA Psychiatry』75巻6号
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