
エステの夢が持つ基本的な意味については、こちらの夢占い記事で解説しています。
この記事では、なぜエステが、夢の中で「きれいになりたい願い」と「いたわられたい気持ち」の両方を映すのかを、見せる顔を磨く心と、触れられることで整う心という二つの心理学の視点、そして東西の人々が肌や体を手入れしてきた長い歴史から、掘り下げてみます。
まず、「エステ」という言葉の由来から見てみましょう。エステは、フランス語で「美学」を意味する「エステティック」を略した言葉です。つまりエステとは、もともと単に肌を整える技術ではなく、美しさとは何かを探り、それを自分の体で表現しようとする営みを指していたといえます。
一つ目の視点は、スイスの心理学者ユングが示した「ペルソナ」です。ペルソナは、人が社会の中でうまくやっていくために身につける、外向きの顔のこと。
古代ギリシャの演劇で役者がつけた仮面が、その語源とされています。ユングは、ペルソナそのものを悪いものとは考えませんでした。
社会で生きていくには、場面に合った顔が必要だからです。けれど、その仮面と自分自身を同じものだと思い込んでしまうと、仮面の下にある本当の気持ちが置き去りにされ、心のバランスが崩れていくと考えました。
エステの夢で、人に見られることを意識しながら施術を受けていたなら、ペルソナを整えることに心が向いている状態といえます。夢は、磨いている仮面が、いまの自分に合っているのかを問いかけているのかもしれません。
二つ目の視点は、触れられることそのものが持つ力です。アメリカのマイアミ大学に「タッチ・リサーチ研究所」を設立した心理学者ティファニー・フィールドは、マッサージや触れ合いが心と体に与える影響を研究してきました。
2005年に共同研究者と発表した総説では、マッサージのあとにストレスに関わるホルモンであるコルチゾールが下がり、気分に関わるセロトニンやドーパミンが増えたという研究結果がまとめられています。
効果の大きさについては慎重な見方もありますが、ていねいに触れられることが、心をほぐす手がかりになるという考え方は、多くの人の実感とも重なるでしょう。
ユングのペルソナが「どう見られるか」という外側の顔に目を向けたのに対して、フィールドの研究は「どう扱われるか」という、触れられる体験の内側に目を向けたといえます。
エステの夢で、見た目の変化よりも、手のひらの温かさや心地よさが印象に残っていたなら、あなたが本当に求めているのは、美しさよりも、大切に扱われる安心感なのかもしれません。
では、人は昔から、どのように肌や体を手入れしてきたのでしょうか。
西洋では、医学の父と呼ばれる古代ギリシャのヒポクラテスが、医師はさすることの技に通じていなければならないと説いたと伝えられています。
古代ローマでは、公衆浴場で湯につかったあと、香油を使ったマッサージを受けることが人々の楽しみでした。
また、古代エジプトの女王クレオパトラが、美しい肌を保つためにロバのミルクの風呂に入っていたという話も、伝説として語り継がれています。
日本でも、美しさへの工夫は古くから重ねられてきました。平安時代の貴族の女性たちは、白粉で肌を白く整え、長い黒髪を何より大切にしました。
江戸時代になると、米ぬかを布袋に詰めた「ぬか袋」で顔や体を洗うことが広まります。1813年に刊行された美容書『都風俗化粧伝』には、化粧の仕方だけでなく、肌の手入れや、顔の形に合わせた化粧の工夫までが細かく記されていました。
高価な道具がなくても、身近なもので自分をていねいに磨く。その習慣は、忙しい毎日の中で、自分を取り戻すための大切な時間でもあったのでしょう。
見せる顔を磨く心と、触れられることで整う心。そして、東西の人々が受け継いできた、自分をいたわる知恵。エステの夢は、あなたがいま磨きたいのが外側の顔なのか、それとも疲れた心なのかを、そっと問いかけているのかもしれません。
ここまでの内容をもとにした、夢の意味をたどる創作ストーリーは、こちらの夢物語でお楽しみいただけます。
よくある質問
エステの夢で、見た目がきれいになっても嬉しくなかったのはなぜですか?
ペルソナの考え方に当てはめると、外側の顔は整ったのに、その下にある気持ちが満たされていない状態を映していると読むことができます。
周りの期待に合わせて自分を磨いてきたけれど、本当はもっと違うものを求めているのかもしれません。
見た目の変化より、心が安らぐことを優先したいという、内側からの小さな声として受け止め、自分が本当にほっとできる時間は何かを考えてみてください。
誰かに触れられるのが苦手でも、エステの夢を見ることはありますか?
人に触れられるのが苦手な人でも、エステの夢を見ることは珍しくありません。その場合、夢の中の施術は、実際に触れられることよりも、誰かに気にかけてもらいたい、大切に扱われたいという気持ちの象徴として表れていることが多いものです。
ぬか袋で自分の肌をていねいに洗った江戸の人々のように、自分で自分をいたわる時間をつくることも、この夢のメッセージを受け取る一つの方法です。

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