
真っ白なパレットに、チューブから絵の具をしぼり出す。赤、青、黄色。筆の先でそっと混ぜると、思いがけない色が生まれていく――そんな夢を見たことはありませんか。
絵の具の夢は、夢占いでは、あなたの中にある表現したい気持ちや、まだ形になっていない感情、そしてこれからの人生をどんな色に染めていきたいかという思いを映すとされています。
鼻をかすめる油や水の匂い、指先についたひんやりとした絵の具の感触。夢の中で何色が印象に残ったのかを手がかりに、意味を読み解いていきましょう。
絵の具の夢の主な意味
- 自分の気持ちや個性を表現したいという願い
- まだ形になっていない感情や、新しい可能性の芽生え
- 色を混ぜる夢は、いくつもの気持ちや人間関係を調和させる力
- 印象に残った色が、いまの心の状態を教えてくれる
- こぼす・足りない夢は、表現の行き詰まりや焦りへの注意
基本の意味
絵の具は、まだ何も描かれていない紙やキャンバスに、自分だけの世界を描き出すための道具です。
そのため夢の中の絵の具は、あなたの中にある表現したいという気持ちや、これから人生をどう彩っていきたいかという思いを象徴するとされます。
色とりどりの絵の具がそろっていたなら、才能や可能性が豊かに広がっている吉兆。反対に、絵の具が足りなかったり、思うような色が出せなかったりしたなら、気持ちをうまく言葉や形にできないもどかしさを抱えているのかもしれません。
完成した絵の夢が「何を伝えたいか」を映すのに対して、絵の具の夢は、伝えるための材料や、心に浮かんでいる感情そのものを映していると考えるとわかりやすいでしょう。
心理学的見解
スイスの心理学者ユングは、自身が心の危機に直面した時期に、心に浮かぶイメージを絵に描き留め、患者たちにも絵を描くことを勧めました。
言葉にならない思いを、色や形にして外に出すことで、無意識と対話していく。
ユングはこうした方法を「能動的想像(アクティブ・イマジネーション)」と呼び、また、多くの人が自然と円形の模様を描くことに気づいて、それを心の全体性を表す「曼荼羅(マンダラ)」として重視しました。
ユング的な夢の見方に立てば、絵の具の夢は、あなたの心が、言葉ではとらえきれない感情を色に託して、外へ出そうとしている姿だと読むことができます。
夢の中で選んだ色や、混ぜてできた色は、いまのあなたの心の色そのものなのかもしれません。
ちなみに日本画では、古くから鉱物を砕いて作る「岩絵具(いわえのぐ)」が使われてきました。
深い青の群青は藍銅鉱(らんどうこう)から、鮮やかな緑の緑青は孔雀石(くじゃくいし)から作られ、白い絵の具の胡粉(ごふん)は、貝殻を細かく砕いて作られます。
石や貝が持っていた色が、絵の具となって絵の中に生き続ける。絵の具には、自然から受け取った色を、人の手で新しい形に生まれ変わらせる力が宿っているのです。
状況別の意味
絵の具で絵を描く
絵の具を使って楽しく絵を描いている夢は、運気全体が高まり、創造力や表現力が豊かに発揮される時期を示す吉夢です。
頭の中にあったアイデアや思いが、少しずつ形になっていくのでしょう。何を描いていたかを覚えているなら、それがいまのあなたにとって大切なテーマです。
この勢いを活かして、気になっていた趣味や創作に、実際に手をつけてみてください。思った以上に楽しめるはずです。
絵の具を一面に塗る
紙や壁いっぱいに、絵の具をのびのびと塗り広げていく夢は、自分の存在を周りに示したい、思いきり自分らしさを出したいという気持ちの表れです。
抑えていたエネルギーが、外へ向かってあふれ出そうとしているのでしょう。塗っていて気持ちがよかったなら、自信を持って前に出てよいというサインです。
会議での発言や、新しい提案など、遠慮していた場面で一歩前に出てみてはいかがでしょうか。
絵の具を混ぜる
パレットの上で絵の具を混ぜ、新しい色を作り出す夢は、異なる考えや立場をうまく調和させる力が高まっていることを示しています。
人間関係の中で、橋渡しの役目を担う機会が増えていくかもしれません。思いどおりの色ができたなら、物事を柔軟に組み合わせて、よい結果を生み出せる時期です。
自分の考えだけにこだわらず、周りの意見を少し取り入れてみると、思いがけない答えが見つかります。
混ぜた色が濁ってしまう
色を混ぜるうちに、どんどん濁ってにごった色になってしまう夢は、いくつもの気持ちや用事を一度に抱えこみ、心の整理がつかなくなっている状態を表しています。
あれもこれもと欲張って、本当に大切なものが見えにくくなっているのかもしれません。絵の具も、混ぜすぎると色が沈んでしまうものです。
いま取り組んでいることを書き出して、まずは一つの色、一つのことに絞ってみるとよいでしょう。
絵の具をパレットに出す
チューブから絵の具をしぼり出して、パレットに並べていく夢は、何かを始める前の準備が整いつつあることを示しています。
これから取り組むことへの期待で、胸がふくらんでいる時期なのでしょう。並べた色が多かったなら、可能性や選択肢が豊富にあることの表れです。
始めるまでに時間をかけすぎず、準備ができたら、まずは一筆目を描くつもりで、気軽に動き出してみてください。
絵の具が足りない・なくなる
描いている途中で絵の具が足りなくなったり、使いたい色がなくなったりする夢は、やりたいことに対して、時間や力、気持ちの余裕が追いついていない状態を映しています。
表現したいことはあるのに、それを形にするための材料が足りないと感じているのでしょう。足りないものを焦って補おうとする前に、いまある色だけで描けるものを考えてみると、意外な工夫が生まれることがあります。
絵の具が乾いて固まっている
絵の具のチューブやパレットの絵の具が、乾いて固まってしまっている夢は、しばらく使っていなかった才能や、表に出さずにしまってきた感情があることを示しています。
かつて夢中になっていたことを、忙しさの中で置き去りにしてきたのかもしれません。固まった絵の具も、水を加えればまた溶けることがあります。
昔好きだったことに、ほんの少しだけ触れる時間をつくってみましょう。
絵の具をこぼす
絵の具をこぼしてしまう夢は、不注意からのミスや、感情がコントロールしきれずにあふれ出してしまうことへの注意を促しています。
忙しさの中で、気持ちに余裕がなくなっているのでしょう。一方で、こぼれた色が思いがけず美しい模様になっていたなら、失敗が新しい発見につながる暗示とも読めます。
慌てずに一度立ち止まり、目の前のことを一つずつ丁寧に片づけていくことを心がけてみてください。
絵の具が手や服につく
気づいたら手や服に絵の具がついている夢は、何かに夢中になり、その世界に深く入りこんでいることを表します。
汚れを気にせず楽しんでいたなら、好きなことに打ちこむ充実した時期です。反対に、汚れがとれずに困っていたなら、周りの影響を受けすぎて、自分の色がわからなくなっているのかもしれません。
自分が本当に好きなものは何かを、ひとりの時間に静かに確かめてみるとよいでしょう。
新しい絵の具を買う
画材店などで新しい絵の具を買う夢は、新しい挑戦への意欲や、自分を変えたいという前向きな気持ちの表れです。
いつもと違う色を選んでいたなら、これまでの自分にない一面を試してみたい時期なのでしょう。新しい趣味や学び、ファッションの変化など、小さなところから自分の世界を広げてみてください。
選んだ色が、これからのあなたを彩るヒントになってくれるはずです。
絵の具をもらう
誰かから絵の具をもらう夢は、あなたの才能や可能性を応援してくれる人が現れることを示す吉夢です。
くれた相手が知っている人なら、その人があなたの力を信じてくれているのでしょう。もらった絵の具の色にも注目してみてください。
その色の意味が、相手からのメッセージかもしれません。差し出された応援を遠慮せずに受け取り、期待に応えるつもりで挑戦を始めてみましょう。
カラフルな絵の具がたくさんある
色とりどりの絵の具がずらりと並んでいる夢は、あなたの中にたくさんの可能性や才能が眠っていることを表しています。
いろいろなことに興味が広がり、心が生き生きとしている時期なのでしょう。ただ、選択肢が多すぎて、どれを選ぶか迷っている気持ちが映っている場合もあります。
全部を一度に使おうとせず、いまいちばん心が動く色から、ひとつずつ手に取っていけばよいのです。
赤やピンクの絵の具
赤やピンクの絵の具が印象に残る夢は、情熱や愛情、生きるエネルギーが高まっていることを示しています。
恋愛運が上向き、誰かとの関係が温かく深まっていく暗示でもあります。赤が強すぎて落ち着かなかったなら、気持ちが高ぶりすぎているのかもしれません。
色そのものの意味については赤の夢も参考になるでしょう。情熱を大切にしつつ、ときどき深呼吸を忘れずにいてください。
青や水色の絵の具
青や水色の絵の具が印象に残る夢は、心が落ち着きを求めていることや、冷静な判断力が高まっていることを表しています。
忙しさの中で、静かに考える時間を必要としているのでしょう。澄んだ青だったなら、迷いが晴れ、物事を客観的に見られる時期です。
暗い青だったなら、少し寂しさを抱えているのかもしれません。青の夢もあわせて読み、自分の気持ちを確かめてみてください。
緑の絵の具
緑の絵の具が印象に残る夢は、心と体の回復や、穏やかな成長を示しています。疲れていた気持ちが少しずつ癒やされ、安心して過ごせる時期が近づいているのでしょう。
人間関係でも、無理のない自然体のつながりが育っていく暗示です。鮮やかな緑だったなら、新しいことを始めるのにも向いています。
自然の中を散歩するなど、心が深呼吸できる時間を意識してつくってみるとよいでしょう。
黄色や金色の絵の具
黄色や金色の絵の具が印象に残る夢は、明るい希望や、金運・仕事運の上昇を示す吉夢です。周りから注目され、評価される機会が増えていくかもしれません。
気持ちが前向きで、人を引きつける明るさが自然とにじみ出ている時期なのでしょう。ただ、金色がまぶしすぎて落ち着かなかったなら、見栄を張りすぎていないかを振り返るサインです。
等身大の自分で、チャンスを受け取ってください。
白い絵の具
白い絵の具が印象に残る夢は、心をリセットしたい、まっさらな気持ちでやり直したいという願いを表しています。
白は、ほかの色を明るくしたり、塗り重ねて隠したりする色でもあります。過去の失敗や気まずい出来事を、新しい気持ちで上書きしたいと感じているのでしょう。
思いきって身の回りを片づけるなど、心にも余白をつくると、新しい色を受け入れる準備が整います。
黒い絵の具
黒い絵の具が印象に残る夢は、不安や悩み、言葉にできない重たい気持ちを抱えていることを示しています。
気づかないうちに、心が疲れているのかもしれません。一方で黒は、ほかの色を引き締め、輪郭をはっきりさせる色でもあります。
悩みの中から、本当に大切なことが浮かび上がってくる時期とも読めます。重たい気持ちは一人で抱えず、信頼できる人に少しだけ打ち明けてみてください。
まとめ
絵の具の夢は、あなたの中にある表現したい気持ちと、いまの心の色を映し出す夢です。色を混ぜたり、塗り広げたりする夢は、可能性が豊かに広がっているサイン。
足りない、こぼれる、固まるといった夢は、気持ちの余裕や、置き去りにしてきた思いに目を向けるよう知らせてくれています。
夢の中でいちばん心に残った色を、ひとつだけ思い出してみてください。その色を、明日の服や小物に少しだけ取り入れてみると、夢からのメッセージが、あなたの毎日をやさしく彩ってくれるかもしれません。
この夢をもとにした、SF仕立ての創作ストーリーはこちらの夢物語でお楽しみいただけます。
ニュートンとゲーテの色の考え方の違いや、ユングの『赤の書』、チューブ絵の具の誕生、江戸の「四十八茶百鼠」をもっと深く知りたい方は、こちらの夢ことほぎ記事もご覧ください。
よくある質問
絵が苦手な人が、絵の具の夢を見ることにも意味はありますか?
絵の具の夢は、絵の上手下手とは関係なく、気持ちや個性を外に出したいという心の動きを映しています。
絵が苦手な人がこの夢を見るときは、ふだん言葉や行動で表せていない思いが、色という形を借りて現れているのかもしれません。
料理や服選び、部屋の飾りつけなど、色を楽しめる場面はたくさんあります。自分なりの方法で「好きな色」を暮らしに取り入れてみると、心が軽くなっていきます。
夢の中で、使いたい色がどうしても見つからなかったのはなぜでしょうか?
欲しい色が見つからない夢は、自分が本当は何を求めているのか、まだはっきりしていない状態を表していることが多いものです。
こんなふうになりたい、という理想はあるのに、それを言葉にするところまで届いていないのでしょう。
その色がどんな色に近かったのか、手持ちの色を混ぜればつくれそうだったのかを思い出してみてください。
いまある力を組み合わせることで、求めているものに近づけるというヒントが隠れているかもしれません。
