【夢ことほぎ】地震の夢の心理学的意味|由来・背景

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【夢ことほぎ】地震の夢の心理学的意味|由来・背景

大きな地震のあと、しばらくのあいだ夢の中まで揺れていた。そんな経験を語る人は少なくありません。目を覚ますと部屋は静かなのに、体のどこかがまだ揺れを覚えている。心は、現実の揺れが過ぎ去ったあとも、それを夜ごとに確かめ直しているかのようです。

場面ごとの夢の意味は、地震の夢の夢占い記事にまとめています。ここでは、地震という出来事が人の夢と心にどんな跡を残すのか、そして昔の人々がこの見えない揺れをどう受け止めてきたのかを、たどってみましょう。

揺れのあとに増えた夢

1989年10月、アメリカのサンフランシスコ湾岸地域を、ロマ・プリータ地震が襲いました。

アメリカの心理学者ジェームズ・ウッド、リチャード・ブーツィンたちは、地震のあと、揺れを体験した湾岸地域の大学生92人と、遠く離れたアリゾナ州ツーソンの大学生97人に、三週間にわたって見た悪夢を記録してもらいました。

すると、湾岸地域の学生たちは、ツーソンの学生たちのおよそ二倍の頻度で悪夢を見ていました。さらに、湾岸地域の学生の約4割が、三週間のうちに少なくとも一度は地震の悪夢を見ていたのです。ツーソンでは、その割合は約5%にとどまりました。

興味深いのは、地震の悪夢が、ほかの悪夢と比べて特別に強い感情をともなっていたわけではなかったことです。体験した出来事は、夢の中ではしばしば、ふだんの悪夢と同じような形をとって、静かにくり返し現れていたのです。

anima
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怖い出来事のあと、夢で何度も見てしまうのは、心が整理を続けている証拠なの。

急がなくていいのよ。少しずつ、遠くなっていくものだから。

地下で暴れる大鯰

日本には古くから、地面の下にいる大きな鯰が暴れると地震が起きる、という言い伝えがありました。

茨城県の鹿島神宮の境内には「要石」と呼ばれる石があり、鹿島の神がこの石で大鯰の頭を押さえ、地震を防いでいると語り継がれてきました。千葉県の香取神宮にも要石があり、こちらは大鯰の尾を押さえているといわれます。鹿島の要石は上がくぼんだ形、香取の要石はとがった形で、二つで一対をなすとも伝えられています。

要石は、地上に見えている部分こそ小さいものの、地中深くまで続いていて、掘っても掘っても底に届かないという言い伝えも残っています。目に見えない地下の力を、見えない深さの石が押さえている。人々は、そうして揺れへの不安を形あるものに託してきたのでしょう。

水の底で静かに泳ぐナマズ

1855年(安政2年)、江戸の町を大地震が襲います。安政江戸地震です。この地震のあと、江戸では「鯰絵」と呼ばれる刷り物が数多く出回りました。そこには、人々に懲らしめられる大鯰や、平謝りする大鯰、要石で鯰を押さえこむ鹿島の神の姿などが、どこかユーモラスに描かれています。

なかには、地震のあとの復興で仕事が増えた大工や左官たちが、鯰に感謝しているような絵まであります。災害は多くのものを奪う一方で、町の立て直しを通して人々の暮らしを動かしていきました。鯰絵には、そうした世の中の移り変わりへの、複雑な気持ちまで描きこまれていたのです。

大きな災害の恐怖を、笑いや皮肉に変えて描きとめる。鯰絵は、江戸の人々が恐怖を言葉と絵にすることで、心を立て直そうとした跡でもあったのかもしれません。東京大学には、こうした鯰絵やかわら版を集めた「石本コレクション」が残され、いまはインターネットでも見ることができます。

忘れた頃にやって来る

「天災は忘れた頃にやって来る」という言葉は、物理学者で随筆家の寺田寅彦の警句として知られています。

ところが、寅彦自身の文章の中に、これとまったく同じ一文は見当たりません。寅彦は1934年の随筆「天災と国防」で、災害がまれにしか起きないために、人々が前の災害を忘れたころに次の被害がやってくる、という趣旨を書いています。

この言葉を広めたのは、寅彦の弟子で雪の研究で知られる中谷宇吉郎でした。中谷はのちに新聞への寄稿で、寅彦が話の中でよく口にしていた言葉だと明かしています。

一人の科学者の口ぐせが、弟子によって言葉に結晶し、世代を越えて人々の備えの心を支えるようになったのです。

anima
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忘れることは、悪いことばかりじゃないわ。

でも、備えだけは忘れないでいてね。それが、未来のあなたを守ってくれるから。

夢に戻る

ロマ・プリータ地震のあとの学生たちは、体験した揺れを、夢の中で何度も見直していました。鯰絵を描いた江戸の人々は、恐怖を笑いに変えて形にしました。そして寅彦と中谷は、忘れることの怖さを、短い言葉にして残しました。

地震の夢で目を覚ましたとき、怖さが残るのは自然なことです。それは、あなたの心が、揺らぎを忘れずに受け止め、次の備えへとつなげようとしているしるしなのかもしれません。夜が明けたら、懐中電灯の置き場所を一つ確かめるくらいの、小さな備えに変えてみてください。

毎晩同じ時刻に目を覚ます青年と、揺れる照明のかさ。

地震の夢をめぐる創作ストーリーは、こちらの夢物語で読むことができます。

参考文献

  • Wood, J. M., Bootzin, R. R., Rosenhan, D., Nolen-Hoeksema, S., & Jourden, F.(1992)”Effects of the 1989 San Francisco earthquake on frequency and content of nightmares.” Journal of Abnormal Psychology, 101(2), 219–224.
  • コトバンク「要石」(https://kotobank.jp/word/要石)
  • 寺田寅彦「天災と国防」(1934年)
  • 滝田洋一「天災は忘れた頃に…寺田寅彦の警句は生かされているか」日経BOOKプラス(https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/071300099/080800015/)
  • カレントアウェアネス・ポータル「東京大学総合図書館、地震・火災などのかわら版や鯰絵などからなる『石本コレクション』のウェブサイトを公開」(https://current.ndl.go.jp/car/37523)
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