【夢ことほぎ】煙突の夢の心理学的意味|由来・背景

この記事は約4分で読めます。
【夢ことほぎ】煙突の夢の心理学的意味|由来・背景

煙突の夢が持つ基本的な意味については、こちらの夢占い記事で解説しています。

この記事では、なぜ煙突が、夢の中で「心にたまったものを外へ出したい」という気持ちを映すのかを、気持ちを言葉にすることの力を見つめた二つの研究と、煙突をめぐる光と影の歴史から、掘り下げてみます。

心のすすをかき出す「煙突掃除」

一つ目の視点は、精神分析の出発点となった、ヨーゼフ・ブロイアーとジークムント・フロイトによる1895年の『ヒステリー研究』です。

この本に登場する「アンナ・O」と呼ばれる女性は、ブロイアーに、心に浮かぶことや、つらかった出来事を話すうちに、症状が和らいでいくことを経験しました。

彼女は、この方法を「お話し療法」と呼び、さらに冗談めかして「煙突掃除」とも名づけたといいます。

心の中にたまったすすを、言葉にすることで外へかき出していく。煙突と心を結びつけるイメージは、心理療法の始まりの場面にすでに現れていたのです。

書き出すことで、心と体が軽くなる

二つ目の視点は、アメリカの心理学者ジェームズ・ペネベーカーです。ペネベーカーは1986年、大学生に、これまでで最もつらかった出来事とそのときの気持ちを、1日15分、4日間続けて書いてもらう実験を行いました。

すると、数か月後、その学生たちは、ありふれた話題について書いた学生よりも、体調を崩して大学の保健センターを訪れる回数が少なかったのです。

さらにペネベーカーは、その後の研究で、ただ感情をぶつけるだけでなく、「なぜなら」「だから分かった」といった言葉を使って、出来事を自分なりの物語に整えていった人ほど、効果が大きい傾向があることにも気づきました。

アンナ・Oとブロイアーが「話して、たまったものを外へ出すこと」に目を向けたのに対して、ペネベーカーは「外へ出したものを、言葉で整えて、意味を見つけていくこと」に目を向けたといえるでしょう。

噴き出す煙、おだやかに昇る煙

煙突の夢で、煙が勢いよく噴き出していたなら、あなたの心は、とにかく気持ちを吐き出したいと願っているのかもしれません。

白い煙がおだやかに昇っていたなら、心の中の出来事が、少しずつ自分なりの言葉に整いはじめているのかもしれません。

では、煙突は、人々の暮らしの中で、どのような姿を見せてきたのでしょうか。

幸運の象徴の陰にいた子どもたち

ヨーロッパで煙突掃除人が幸運の象徴とされてきたことは、よく知られています。けれど、その陰には、つらい歴史もありました。

18世紀から19世紀のイギリスでは、細く曲がりくねった煙突の中に入れるよう、幼い子どもたちが煙突掃除の仕事に就かされていたのです。

イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクは、1789年の詩集『無垢の歌』に収めた「煙突掃除の少年」で、そうした子どもの一人が見た夢を描きました。

黒い棺に閉じこめられた大勢の仲間たちを、天使が輝く鍵で解き放ち、子どもたちは緑の野原を駆け、川で体を洗い、陽の光の中で輝く。

すすにまみれた少年の夢は、閉じこめられたものが解き放たれる夢でもあったのです。こうした子どもの労働は、1863年の小説『水の子』などを通して人々の心を動かし、1875年の法律で、ようやく終わりを迎えました。

見る場所で本数が変わる「お化け煙突」

日本でも、煙突は人々の記憶に残る風景をつくってきました。東京の千住にあった火力発電所の4本の煙突は、見る場所によって1本にも、2本にも、3本にも見えることから「お化け煙突」と呼ばれ、1953年の映画『煙突の見える場所』にも登場しました。

同じ煙突が、立つ場所によってまったく違う姿に見える。その不思議さは、ものの見方は一つではないということを、町の人々に教えていたのかもしれません。

煙突の夢が送り出そうとしているもの

すすをかき出すように言葉にすることと、その言葉を自分なりの物語に整えていくこと。幸運の象徴の陰にあった子どもたちの夢と、見る場所で姿を変えた町の煙突。

煙突の夢は、あなたがいま、心の中に何をため込んでいるのか、そして、それをどんな言葉で外へ送り出してあげたいのかを、そっと問いかけているのかもしれません。

ここまでの内容をもとにした、夢の意味をたどる創作ストーリーは、こちらの夢物語でお楽しみいただけます。

よくある質問

煙突の夢を見たあと、誰かに話を聞いてほしい気持ちになりました。

煙突の夢のあとに、誰かに話したくなったなら、心の中にたまっていたものが、外へ出る道を探しているサインと読むことができます。

アンナ・Oが話すことを「煙突掃除」と呼んだように、言葉にすることには、心を軽くする力があります。

話せる相手がすぐに見つからないときは、ペネベーカーの研究のように、ノートに15分だけ書き出してみるのもよい方法です。

煙突の夢で、煙突が何本あるのか数えられませんでした。

煙突の本数が数えられない夢は、いま向き合っている物事を、一つの見方だけではとらえきれずに、迷っている状態を表していると読むことができます。

千住の「お化け煙突」が、見る場所で本数を変えたように、物事は、立つ位置によって違う姿を見せるものです。

少し視点を変えて、別の立場の人の考えを聞いてみると、ぼんやりしていた全体の形が、すっと見えてくるかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました