
夢の中で夢中になって絵を描いていて、目が覚めてからも、手のひらに鉛筆や筆の感触が残っていた、という経験はないでしょうか。
絵を描く夢は、夢占いでは、言葉ではうまく表せない気持ちを形にしたいという思いや、創造力の高まり、そして自分自身と向き合おうとする心の動きを映すとされています。
すらすらと描けたのか、思うように描けなかったのか。何を描いたかと同じくらい、描いているときの手の動きや気持ちが、夢のメッセージを読み解く大切な手がかりになります。
紙の上をすべる鉛筆の音を思い出しながら、意味を読み解いていきましょう。
絵を描く夢の主な意味
- 言葉にならない気持ちを、形にして伝えたいという願い
- 創造力やひらめきが高まっているサイン
- 夢中で描く夢は、心が充実している時期の表れ
- 描けない・消す夢は、自己表現への迷いや自信のゆらぎ
- 完成させる夢は、目標の達成や思いが形になる吉兆
基本の意味
絵を描くことは、心の中にあるイメージを、自分の手で外の世界に生み出す行為です。そのため夢の中で絵を描くことは、自己表現への欲求や、新しいものを生み出す創造のエネルギーを象徴するとされます。
楽しく描けていたなら、アイデアが次々と浮かび、物事を形にしていける好調な時期を示す吉夢。
反対に、手が動かなかったり、何度も消したりしていたなら、伝えたいことがあるのにうまく表現できないもどかしさや、自分を表に出すことへのためらいを映しています。
完成した絵そのものの意味については絵の夢でも触れていますが、絵を描く夢では、描く過程で感じた気持ちにこそ、いまのあなたの心が表れているのです。
心理学的見解
ハンガリー出身の心理学者ミハイ・チクセントミハイは、画家やスポーツ選手などが、時間を忘れるほど何かに没頭しているときの心の状態を研究し、これを「フロー体験」と名づけました。
チクセントミハイによれば、人は、自分の力に見合った適度な挑戦に夢中で取り組んでいるとき、深い充実感と喜びを感じるといいます。
絵を描くことは、このフロー体験が生まれやすい代表的な営みの一つです。
現代的な夢の見方に立てば、夢の中で時間を忘れて絵を描いていたなら、あなたの心が、そうした没頭できる時間を求めているか、あるいはすでに、日々の中で充実した時間を過ごせていることの表れだと読むことができます。
ちなみに室町時代の画僧・雪舟には、こんな逸話が伝わっています。少年のころ、お寺での修行中に絵ばかり描いていたため、罰として本堂の柱に縛りつけられてしまいました。
泣いていた雪舟が、床に落ちた涙を足の指でなぞってねずみを描いたところ、それがあまりに生き生きとしていて、見回りに来た住職が本物のねずみと見間違えた、というのです。
この話は、江戸時代に書かれた画家の伝記『本朝画史』にも記されています。描きたいという思いは、どんな状況でもあふれ出すものなのかもしれません。
状況別の意味
夢中で絵を描く
時間を忘れるほど夢中で絵を描いている夢は、心が満たされ、創造のエネルギーが高まっていることを示す吉夢です。
仕事や趣味で、思わぬアイデアがひらめく時期なのでしょう。夢の中で感じた楽しさは、いまのあなたが心から打ちこめるものを求めているサインでもあります。
気になっていたことに、まずは一日十分だけでも取り組んでみてください。その時間が、毎日の大切な支えになっていきます。
上手に描ける
思いどおりに、すらすらと上手に絵を描けている夢は、自分の力に自信を持てていることや、才能が認められていくことを示しています。
これまで積み重ねてきた努力が、形になりはじめる時期なのでしょう。描いた絵に満足していたなら、目標に近づいている吉兆です。
この自信を活かして、ためらっていた挑戦に踏み出してみるとよいでしょう。思っている以上に、周りはあなたの力に気づいています。
思うように描けない
描こうとしているのに、手が思うように動かず、イメージどおりに描けない夢は、伝えたいことがあるのに、うまく表現できないもどかしさを表しています。
周りの評価が気になって、自分らしさを出すことにためらいがあるのかもしれません。完璧に描こうとするほど、手は止まってしまうものです。
うまく描こうとせず、思いつくままに線を引くような気持ちで、まずは気軽に言葉や行動にしてみてください。
下手な絵を見られて恥ずかしい
自分の描いた絵が下手で、人に見られて恥ずかしくなる夢は、自分の能力に自信が持てないことや、周りからの評価を気にしすぎていることを表しています。
人と比べて、自分の足りないところばかりに目が向いているのでしょう。けれど、絵の上手下手は、あなたの価値を決めるものではありません。
できないことより、できていることに目を向けて、小さな成功を自分で認めてあげることから始めてみましょう。
消しゴムで消して描き直す
描いた線を消しゴムで消して、何度も描き直す夢は、過去の失敗をやり直したい気持ちや、物事をより良くしようとする向上心の表れです。
納得いくまで描き直していたなら、粘り強さが発揮できている時期でしょう。一方で、消してばかりで前に進めなかったなら、完璧主義になりすぎているのかもしれません。
七割の出来でよしとする勇気を持つと、物事がぐっと進みやすくなります。
絵を完成させる
描いていた絵を最後まで仕上げる夢は、取り組んできたことが実を結び、目標を達成できることを示す吉夢です。
思いや計画が、ついに形になる時期が近いのでしょう。完成した絵を見て満足していたなら、その達成感を素直に受け取ってよいサインです。
ひとつのことをやり遂げた経験は、次の挑戦への自信になります。がんばった自分を、思いきりねぎらってあげてください。
途中でやめてしまう
絵を描いている途中で手を止め、最後まで完成させられない夢は、始めたことを続けられるか不安に思っていることや、気持ちが別のことに移りかけていることを表しています。
忙しさや迷いから、取り組んでいることに集中しきれていないのかもしれません。中断した理由を思い出してみてください。
疲れていたなら休息を、興味が薄れていたなら、本当にやりたいことを見つめ直すきっかけにしましょう。
子どものころのように落書きをする
ノートの端やチラシの裏に、子どものころのように自由に落書きをする夢は、肩の力を抜いて、のびのびと自分を表現したいという気持ちを表しています。
大人としての役割や責任に、少し疲れているのかもしれません。楽しく描けていたなら、心が軽さを取り戻しつつある証拠です。
評価を気にせずに楽しめることを、日常の中にひとつ取り入れてみると、気持ちがやわらかくほどけていきます。
壁や地面に絵を描く
壁や道路など、紙以外の場所に絵を描く夢は、決まった枠にとらわれず、自分の存在を大きく示したいという気持ちを表しています。
周りに自分の考えを伝えたい、認めてもらいたいという思いが強まっているのでしょう。描いていて爽快だったなら、行動力が高まっている時期です。
ただ、誰かに注意されていたなら、ルールとの折り合いを考える必要がありそうです。伝え方を少し工夫してみましょう。
誰かの似顔絵を描く
家族や友人、好きな人などの似顔絵を描く夢は、その人のことをもっと理解したい、しっかり向き合いたいという気持ちの表れです。
その人の表情を思い浮かべながら描いていたなら、関係が深まっていく兆しといえます。うまく似せられなかったなら、相手の本当の気持ちがつかめずにいるのかもしれません。
相手の話にじっくり耳を傾ける時間をつくると、見えてくるものがあるはずです。
自画像を描く
鏡を見ながら自分の顔を描く夢は、自分自身を見つめ直したい、本当の自分を知りたいという気持ちを表しています。
人生の節目を迎え、これからの生き方を考えている時期なのかもしれません。描いた自画像が、実際より明るい表情だったなら、前向きな変化が近い証拠です。
暗い表情だったなら、心が少し疲れています。自分の好きなところを、ひとつ書き出してみるとよいでしょう。
誰かと一緒に絵を描く
友人や家族、恋人などと一緒に絵を描く夢は、その人と同じ目標に向かって協力できることや、心が通い合う関係を示しています。
楽しく描けていたなら、共同での作業や計画がうまく進む吉兆です。反対に、意見が合わずにうまく描けなかったなら、相手との考え方の違いに戸惑っているのでしょう。
互いの描きたいものを尊重し合う気持ちで話し合うと、関係がより深まっていきます。
描いた絵が動き出す
自分の描いた絵が、本物のように動き出す夢は、あなたの想像力や表現したことが、現実の世界に影響を与えはじめることを示しています。
雪舟の涙のねずみのように、心をこめて生み出したものには、人を動かす力が宿るのでしょう。動き出した絵に驚きながらも喜んでいたなら、アイデアが形になる吉兆です。
温めていた企画や思いを、思いきって外に出してみてください。
大きなキャンバスに描く
見上げるほど大きなキャンバスに絵を描く夢は、大きな夢や目標に挑戦したいという意欲の高まりを表しています。
これまでより広い世界で、自分の力を試したいと感じているのでしょう。わくわくしながら描いていたなら、挑戦を始めるのにふさわしい時期です。
圧倒されて手が止まっていたなら、目標が大きすぎて戸惑っているのかもしれません。まずは一角から描き始めるつもりで、小さく動いてみましょう。
写真のように精密に描く
写真と見間違えるほど細かく正確に絵を描く夢は、物事を丁寧に、完璧に仕上げたいという気持ちの表れです。
集中力や観察力が高まり、細かい作業がうまくいく時期なのでしょう。一方で、細部にこだわりすぎて、全体を見失っていないかには気をつけたいところです。
仕事でも人間関係でも、ときには少し引いて全体を眺めてみると、本当に大切なものが見えてきます。
まとめ
絵を描く夢は、言葉にならない気持ちを形にしたいという願いと、あなたの中にある創造のエネルギーを映し出す夢です。
夢中で描く夢や、絵を完成させる夢は、心が充実し、思いが形になっていく明るいサイン。描けない、消してばかりいる、といった夢は、自分を表現することへの迷いに気づくきっかけを与えてくれます。
夢の中で、筆や鉛筆を動かしていたときの気持ちを、ひとつだけ思い出してみてください。その気持ちが、いまのあなたが本当に表現したいものへの、いちばんの手がかりになるはずです。
描く道具そのものが印象に残った方は、絵の具の夢もあわせて読んでみてください。
この夢をもとにした、夢の意味をたどる創作ストーリーはこちらの夢物語でお楽しみいただけます。
リュケの子どもの絵の研究やウィニコットの「スクイグル・ゲーム」、ラスコーの洞窟壁画や葛飾北斎の言葉をもっと深く知りたい方は、こちらの夢ことほぎ記事もご覧ください。
よくある質問
絵を描く趣味がないのに、絵を描く夢を見ました。
絵を描く夢は、実際に絵を描くかどうかにかかわらず、気持ちを外に出したい、何かを生み出したいという心の動きを映していることが多いものです。
仕事のアイデア、誰かに伝えたい思い、新しい生活のイメージなど、形にしたいものが心の中で育っているのかもしれません。
夢で何を描こうとしていたかを思い出してみると、いま、あなたが表現したがっているテーマが見えてくるでしょう。
描いた絵の内容を思い出せません。それでも意味はありますか?
描いた内容を覚えていなくても、描いているときの感覚が、大切な手がかりになります。楽しく描いていたなら創造力の高まりを、苦しみながら描いていたなら、表現することへの迷いを映していると読むことができます。
また、使っていた道具や、描いていた場所が印象に残っている場合もあります。思い出せることを断片だけでも書き留めておくと、似た夢を見たときに、意味をつかみやすくなります。

