【夢ことほぎ】紙の夢の心理学的意味|由来・背景

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【夢ことほぎ】紙の夢の心理学的意味|由来・背景

紙の夢が持つ基本的な意味については、こちらの夢占い記事で解説しています。この記事では、なぜ紙が「自己表現」や「心の余白」の象徴として読まれるのかを、「白紙」という言葉をめぐる哲学と心理学の論争から、紙の誕生と日本への伝来、そして紙に神聖さを見いだしてきた日本の信仰まで、たどりながら掘り下げてみます。

人の心を「白い紙」にたとえた有名な考え方があります。17世紀イギリスの哲学者ジョン・ロックは、1689年に刊行した『人間知性論』の中で、生まれたばかりの人の心を、何も書かれていない「白紙」のようなものだと述べました。

ラテン語で「タブラ・ラサ(何も書かれていない板)」とも呼ばれるこの考え方によれば、人の知識や考え方は、生まれてから経験したことが、少しずつ紙に書き込まれていくことで形づくられるというのです。

これに異を唱えたのが、ユングでした。ユングは、人の心は決して真っ白な紙ではなく、その奥に人類が共通して受け継いできた心の層、「集合的無意識」があると考えました。

英雄、母なるもの、影といった、時代や文化を超えて繰り返し現れるイメージの型は、誰もが生まれながらに心の深いところに持っているというのです。

ロックの考え方に立てば、夢の中の白紙は「これから何でも書き込める可能性」を表し、ユングの考え方に立てば、白い紙の奥には「まだ読み取られていない文字」がすでに書かれている、と読むことができます。

白紙の夢を見て、期待を感じたのか、何かを見落としているような落ち着かなさを感じたのか。その違いが、どちらの読み方に近いかを教えてくれるでしょう。

現代の心理学からも、紙と心の関係を示す研究があります。

アメリカの心理学者ジェームズ・ペネベーカーは、1980年代から、つらい体験や感情を紙に書き出すことが心と体にもたらす影響を調べ、数日間にわたって自分の気持ちを書き続けた人たちに、心身の状態の改善が見られたことを報告しました。

心の中にある思いは、紙に書きとめられることで、はじめて自分の外に出て、眺められるものになる。

紙の夢が「伝えたいのに伝えられない」もどかしさと結びつくのは、紙が昔から、心と外の世界をつなぐ橋の役割を担ってきたからなのかもしれません。

紙そのものの歴史をたどると、中国の後漢の時代に行き着きます。歴史書『後漢書』には、105年に宦官の蔡倫が、樹皮や麻くず、ぼろ布などを原料にした紙を皇帝に献上したことが記されています。

それ以前にも紙のようなものは存在していたことがわかっていますが、蔡倫の改良によって、紙は広く使われるようになったとされています。

日本に紙の製法が伝わったのは、『日本書紀』によれば610年、高句麗の僧・曇徴が、墨とともに紙のつくり方を伝えたのが始まりとされます。

やがて日本では、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)などを原料に、薄く丈夫な和紙が発展しました。

2014年には、島根県の石州半紙、岐阜県の本美濃紙、埼玉県の細川紙の技術が、「和紙:日本の手漉和紙技術」としてユネスコの無形文化遺産に登録されています。

そして日本では、紙はただの記録の道具ではなく、神聖なものと深く結びついてきました。神社のしめ縄や玉串に下がる白い紙垂(しで)は、その内側が清められた神域であることを示す印です。

また、夏越の祓や年越の祓では、人の形に切った紙「形代(かたしろ)」で体をなで、息を吹きかけて、身にたまった穢れを移し、納めたり川へ流したりしてきました。

「紙」と「神」が同じ「かみ」という音を持つことに、両者のつながりを見る俗説も語られてきたほどです。

言葉にならない思いや、目に見えない穢れを受け止め、運び去ってくれるもの。紙の夢の奥には、そんな日本人の祈りの記憶も流れているのです。

ここまでの内容をもとにした、心理ホラー仕立ての創作ストーリーはこちらの夢物語でお楽しみいただけます。

よくある質問

白紙の夢は、ロックとユングのどちらの考え方で読めばいいのですか?

どちらか一方が正しいというより、夢を見たときの気持ちによって、しっくりくる読み方を選ぶのがよいでしょう。

真っ白な紙を前にわくわくしていたなら、これから新しいことを書き込んでいけるというロック的な読み方が合いそうです。

反対に、白い紙を見て何かを思い出せないような落ち着かなさがあったなら、心の奥にすでにある何かに気づこうとしているという、ユング的な読み方が手がかりになるかもしれません。

形代に穢れを移すという風習は、いまも行われているのですか?

形代を使った祓いは、現在も多くの神社で、六月末の夏越の祓や、十二月末の年越の祓の時期に行われています。

人の形に切った紙に名前や年齢を書き、体をなでて息を吹きかけたあと、神社に納めるのが一般的です。

紙の夢を見て、心にたまったものを手放したいと感じたなら、こうした行事に足を運んでみるのもひとつの方法です。

紙に思いを託す行為そのものが、心を軽くしてくれることもあるでしょう。

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