【夢ことほぎ】借りる夢の心理学的意味|由来・背景

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【夢ことほぎ】借りる夢の心理学的意味|由来・背景

借りる夢が持つ基本的な意味については、こちらの夢占い記事で解説しています。この記事では、何かを「借りる」ことが、なぜ夢の中で、足りなさへの気づきと人とのつながりの両方を映すのかを、借りることをめぐる二つの心理学の発見から、人類学者が見いだした「贈り物」の不思議な力、シェイクスピアの戒め、そして江戸の大晦日の借金取りまで、たどりながら掘り下げてみます。

借りることの心理を語るうえで、まず紹介したいのが「ベンジャミン・フランクリン効果」です。アメリカ建国の父の一人であるフランクリンは、自伝の中で、自分に敵意を持っていた議員との関係をどう変えたかを書き残しています。フランクリンは、その議員が珍しい本を持っていると聞き、それを貸してほしいと丁寧に頼みました。議員が本を貸してくれると、フランクリンは心からのお礼を添えて返しました。すると、それ以来、議員はフランクリンに好意的に接するようになり、やがて生涯の友になったといいます。1969年には、アメリカの心理学者たちが、実験によってこの効果を確かめました。人は、誰かに親切にすると、その相手を好ましく思うようになる傾向があるのです。

一方、アメリカの社会心理学者ロバート・チャルディーニは、著書『影響力の武器』の中で、「返報性」の原理を紹介しました。人は、何かをしてもらうと、お返しをしなければという気持ちに強く駆られる、というものです。借りを作ると落ち着かない、早く返さなければと感じるのは、この返報性が心に深く根づいているからだといえます。

フランクリン効果が「貸した側の心が相手に近づく」ことに光を当てたのに対して、返報性は「借りた側の心が相手に引き寄せられる」ことに光を当てたといえるでしょう。貸し借りは、どちらの側から見ても、人と人の心を結びつける糸になっているのです。借りる夢を見たとき、借りたことに感謝を感じていたのか、それとも返さなければという重さを感じていたのか。その違いから、いまのあなたと相手との関係が見えてきます。

フランスの人類学者マルセル・モースは、1925年の著書『贈与論』の中で、世界のさまざまな社会で、贈り物が「贈る義務」「受け取る義務」「お返しをする義務」という三つの義務で結ばれていることを明らかにしました。贈り物やお返しのやりとりは、単なる物の移動ではなく、人と人との関係そのものを生み出し、つなぎ続ける仕組みだったのです。借りたものを返すことは、関係をいったん清算することであると同時に、また新しいつながりを始めることでもあるのでしょう。

一方で、貸し借りの危うさを戒める言葉も残っています。シェイクスピアの『ハムレット』では、父親のポローニアスが、旅立つ息子に「金は借りるな、貸すな。貸せば金も友も失い、借りれば倹約の心がなまる」と忠告します。お金の貸し借りが、ときに大切な友情さえ壊してしまうことを、人は昔から知っていたのです。

日本の江戸の町では、借りと返しの季節がはっきりしていました。当時の商いでは、その場で代金を払わず、盆と暮れにまとめて支払う「掛け売り」が広く行われていました。そのため大晦日になると、商人たちは一年分のツケを取り立てに家々を回り、払えない側は、あの手この手で借金取りを追い返そうとしました。落語の『掛取り』では、借金取りの好きなものに話を合わせて、相手をうまく煙に巻いてしまう男の姿が、面白おかしく描かれています。年の瀬に借りを清算し、新しい年を身軽に迎える。貸し借りは、江戸の人々の暮らしのリズムそのものでもあったのです。

借りることは、自分に足りないものを認める勇気であり、人を信頼する行為でもあります。そして返すことは、関係を大切に育てていく約束でもある。借りる夢は、あなたがいま誰を頼りにし、その関係をどう育てていきたいのかを、そっと問いかけているのかもしれません。

ここまでの内容をもとにした、恋愛仕立ての創作ストーリーはこちらの夢物語でお楽しみいただけます。

よくある質問

フランクリン効果は、恋愛にも当てはまりますか?

フランクリン効果は、恋愛に限らず、人間関係全般で見られる心の傾向だと考えられています。気になる相手に、ちょっとしたお願いごとをしたり、何かを貸してもらったりすることが、関係を近づけるきっかけになることもあるでしょう。ただし、大切なのは、借りたものを丁寧に扱い、きちんと感謝を伝えて返すことです。借りる夢で好きな人が登場したなら、小さなやりとりから距離を縮めてみるのもよさそうです。

借りたものを返せない夢を見ると、罪悪感が残ります。

借りたものを返せない夢の罪悪感は、チャルディーニのいう返報性が、あなたの心にしっかりと根づいている証でもあります。それだけ、人から受けた恩を大切に思っているのでしょう。現実で、お礼を伝えそびれている人や、返事をしていない連絡があるなら、夢をきっかけに一つ片づけてみてください。江戸の人々が年の瀬に借りを清算したように、心の借りを返すと、気持ちが驚くほど軽くなります。

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