
同じ虫の夢でも、ひらひら舞う蝶や、つやつやしたカブトムシの夢なら、目覚めた朝はどこか晴れやかです。ところが、ゴキブリやムカデ、うごめく幼虫のような気持ち悪い虫の夢は、目を覚ましたあとも、肌の上を何かが這っているような感覚を残していきます。
蝶やカブトムシが、願いや力を運んでくる存在として読まれるのに対して、気持ち悪い虫は、あなたの心にまとわりつく、小さな気がかりの姿として現れます。
ひとつひとつは取るに足りない悩みでも、数が増えれば、ぞわっとするほどの重さになる。夢の中の虫は、そんな積み重なりを、目に見える形にしてくれているのです。どんな虫が、どこに、どれくらいいたのか。そしてあなたがどう動いたのかを手がかりに、メッセージを読み解いていきましょう。
気持ち悪い虫の夢の主な意味
- 小さな悩みやストレスが、気づかないうちに積もっている
- 人間関係の中にある、苦手な相手やわずらわしさ
- 自分のコンプレックスや、認めたくない一面への意識
- 疲れがたまり、体調が下り坂にあることへの注意
- 虫を追い払う夢なら、悩みの種を自力で取りのぞける兆し
基本の意味
夢占いで虫は、心にとりついた小さな悩みや、ささいなストレスを表します。なかでも、思わず目をそむけたくなるような気持ち悪い虫は、あなたがはっきり「嫌だ」と感じているのに、うまく片づけられずにいる事柄の象徴です。
それは、どうしても合わない職場の人かもしれませんし、後回しにしている用事や、人に知られたくない自分の癖かもしれません。
虫は、すき間から入りこみ、気づけば数を増やしています。この夢も、ひとつひとつは小さな気がかりが、いつのまにか心の中で増えていることを知らせているのです。
また、気持ち悪い虫の夢は、疲れて心に余裕がなくなっているときに見やすい夢でもあります。ふだんなら気にならないことまで、いちいち神経にさわるようなら、まず休息をとることを考えてみてください。
吉夢・凶夢の見方
気持ち悪い虫の夢の吉凶は、虫の数と、あなたが虫に対してどう動いたかで読み分けます。
虫がどんどん増えていく夢や、体にまとわりついて離れない夢、逃げても追いかけてくる夢は、ストレスや人間関係のわずらわしさが、限界に近づいていることへの注意です。
一方で、自分の手で虫を追い払ったり、退治したりする夢は、悩みの種を自分の力で取りのぞけることを示す吉夢。虫が死んでいる夢や、体から虫が出ていく夢も、悪いものが離れていく兆しとして読まれます。
夢の終わりに、虫がいなくなっていたかどうか。そして、そのとき自分がほっとしていたかどうかを思い出してみてください。
心理学的見解
スウェーデンの心理学者アルネ・エーマンたちは、2001年に、人が苦手なものを、どれほど素早く見つけ出すかを確かめた実験を発表しました。
参加者たちは、画面に並んだたくさんの写真の中から、ひとつだけ種類の違う写真を探します。花やきのこの写真の中にヘビやクモの写真がまぎれている場合と、その反対の場合とを比べると、ヘビやクモのほうが、ずっと早く見つけ出されました。
さらに、クモが苦手な人はクモを、ヘビが苦手な人はヘビを、とりわけ素早く見つけていたのです。エーマンたちは、身を守るために、人の注意は、危険と結びつきやすいものへ自然と引き寄せられると考えました。
見たくないものほど、目に飛び込んでくる。気持ち悪い虫の夢も、あなたの心が、気になってしかたのないものに、眠りの中でも目を向けてしまっている状態を映しているのかもしれません。
日本には、「虫が好かない」という言い回しがあります。体の中にすむ虫が、人の気分や好き嫌いを左右すると考えられていたことと結びついた言葉で、はっきりした理由はないのに、なんとなく好きになれないことを表します。
夢に出てきた気持ち悪い虫は、あなたの中の「虫が好かない」何かを、目に見える姿にして連れてきたものとも読めます。
状況別の意味
気持ち悪い虫が大量に湧いてくる
床や壁から、気持ち悪い虫が次々と湧いてくる夢は、小さな悩みやストレスが、手に負えないほど積み重なっていることを表しています。
とくに、職場や学校の人間関係で、こまごまとした行き違いが続いていないでしょうか。
一度にすべてを片づけようとすると、かえって疲れてしまいます。いま気になっていることを書き出し、すぐに手放せるものから、ひとつずつ減らしていきましょう。
ゴキブリが出てくる
気持ち悪い虫の代表ともいえるゴキブリの夢は、人に見られたくない自分の一面や、コンプレックスを意識していることを示しています。
誰かにその部分を指摘されるのではないかと、心のどこかで身構えているのかもしれません。
ゴキブリが大きいほど、気にしている度合いも大きいと読めます。けれど、自分では短所だと思っていることも、人から見れば個性のひとつにすぎないことは多いもの。少しだけ肩の力を抜いてみてください。
ムカデなど足の多い虫がうごめく
ムカデのように、たくさんの足をもつ虫がうごめく夢は、自分ではどうにもならない出来事に振り回され、気持ちが落ち着かずにいることを表しています。
お金や仕事の先行きに、言葉にならない不安を抱えているのではないでしょうか。
一方で、ムカデの夢を、金運が上向くしるしと読む見方もあります。むやみに怖がるより、出費や予定を見直して、いざというときの備えを整えるきっかけにしましょう。
毛虫や芋虫がはっている
毛虫や芋虫がもぞもぞとはう夢は、まだ形になっていない悩みが、じわじわと育ちつつあることを知らせています。
いまは小さな違和感でも、放っておくと、あとで大きな問題になるかもしれません。
ただ、毛虫や芋虫は、やがて蝶や蛾へと姿を変える生き物でもあります。悩みに早めに手を打てば、それが自分を変えるきっかけにもなるはずです。羽を広げたあとの姿が気になる方は、蛾の夢の意味もあわせて読んでみてください。
ダンゴムシのように丸まる虫
ダンゴムシのように、触れると体を丸める虫を気持ち悪く感じる夢は、あなたが、自分自身と向き合おうとしていることを示しています。
丸まって身を守る姿は、傷つきたくなくて、本音を閉じこめているあなたの姿とも重なります。
見たくない部分も含めて自分を見つめ直すことで、心は少しずつ強くなっていきます。無理に殻を破らなくてもかまいません。今日は、ひとつだけ自分の気持ちを言葉にしてみましょう。
見たことのない気持ち悪い虫
現実では見たことのない、正体のわからない虫が出てくる夢は、新しい人間関係や環境に、まだなじめずにいる不安を表しています。
相手がどんな人なのか読めず、どう接すればよいか迷っているのではないでしょうか。
わからないものは、実際よりも大きく、気味悪く見えるものです。焦って判断せず、相手の言葉や行動を少し観察してみると、思っていたより付き合いやすい一面が見えてくるでしょう。
気持ち悪い虫が体にまとわりつく
腕や足に、気持ち悪い虫がまとわりつく夢は、人間関係のわずらわしさが、あなたから離れずにいることを示しています。
断りきれない誘いや、気の進まない頼まれごとを、いくつも抱えこんでいないでしょうか。
払っても払っても虫が離れなかったなら、自分ひとりの力では限界が近いというサインです。信頼できる人に事情を話し、手を借りることも考えてみてください。
体の中から虫が出てくる
自分の体の中から、虫がぞろぞろと出てくる夢は、気持ち悪さとは裏腹に、心の奥にため込んでいた悩みが外へ出ていくことを表す吉夢です。
長く引きずってきた問題に、ようやく区切りがつきそうです。
出ていった虫を見送ったあと、体が軽くなった感覚があったなら、なおさら良い兆し。ただし、体の内側をむしばむ虫の夢が続くときは、疲れの表れでもあります。似た夢が気になる方は、寄生虫の夢の意味も参考にしてください。
部屋や布団の中に虫がいる
自分の部屋や布団の中で、気持ち悪い虫を見つける夢は、本来いちばん安心できるはずの場所で、気が休まらずにいることを示しています。
家族や同居人との関係に、言葉にしにくいわだかまりがあるのかもしれません。
また、仕事の悩みを家にまで持ち帰ってしまっている場合にも見やすい夢です。寝る前の一時間はスマートフォンを置くなど、心を休める場所を取り戻す工夫をしてみましょう。
食べ物の中に虫が入っている
食べようとした料理や果物の中に、気持ち悪い虫が入っている夢は、魅力的に見える話や人の中に、気になる点がひそんでいることへの警告です。
条件のよすぎる誘いや、急に近づいてきた人に、心のどこかで違和感を覚えていないでしょうか。
その違和感は、見すごさないほうがよさそうです。すぐに決めず、一晩おいてから判断するくらいの慎重さが、いまのあなたを守ってくれます。
気持ち悪い虫に追いかけられる
気持ち悪い虫に追いかけられたり、襲いかかられたりする夢は、苦手な人や面倒な問題から、逃げたい気持ちが強くなっていることを表しています。
ひとつひとつは小さなストレスでも、積もり積もって、心が後ろ向きになっているのでしょう。
すべての人とうまくやろうとしなくて大丈夫です。できることをやったなら、あとは気にしすぎない。そう決めるだけで、追いかけてくる影は小さくなっていきます。
気持ち悪い虫に刺される・噛まれる
気持ち悪い虫に刺されたり、噛まれたりする夢は、周囲の人との間で、思いがけない摩擦が起きやすいことを示しています。
理不尽なひと言や、陰で言われていることが、思った以上に心に刺さっているのかもしれません。
刺された場所が痛んだりかゆんだりした場合は、そのもやもやが長引きやすいとき。気になる言葉は、ひとりで反すうせず、誰かに話して軽くしておきましょう。噛まれる場面が気になる方は、噛まれる夢の意味もどうぞ。
気持ち悪い虫を自分で退治する
気持ち悪い虫を、自分の手でたたいたり、追い払ったりして退治する夢は、悩みの種を自分の力で取りのぞけることを示す吉夢です。
これまで我慢してきた問題に、正面から向き合う気持ちが固まりつつあるのでしょう。
怖くても手を動かせたなら、それは現実でも動ける力があるということ。先延ばしにしていた話し合いや手続きに、思いきって取りかかってみてください。
虫を退治しようとしても逃げられる
退治しようとしたのに、虫がすき間に逃げこんで見失ってしまう夢は、問題を根本から片づけきれていないことへの注意です。
その場しのぎで気分を切り替えても、気がかりの元が残っているのではないでしょうか。
見えなくなったからといって、なくなったわけではありません。何がいちばん引っかかっているのか、根っこの部分をもう一度見つめてみることが大切です。
気持ち悪い虫を捕まえる・素手でつかむ
苦手なはずの虫を、自分から捕まえたり、素手でつかんだりする夢は、避けてきた問題に、あえて近づこうとしている心の表れです。
本当は向き合わなければならないと、あなた自身が気づいているのでしょう。
つかんだあと、思ったより平気だったなら、その問題は、想像していたほど手ごわくないはずです。反対に、強い嫌悪が残ったなら、まだ準備の途中。焦らず、自分のペースで近づいていってください。
虫の死骸がある
気持ち悪い虫が死んでいる夢は、あなたを悩ませていた問題が終わりを迎え、状況が好転していくことを表しています。
夢占いで死は、終わりと同時に、新しい始まりを意味するものです。
苦手だった人との関係が落ち着いたり、長引いていた面倒ごとが片づいたりするかもしれません。気持ちを切り替えて、空いた心のすき間に、楽しみな予定をひとつ入れてみましょう。
誰かが代わりに虫を退治してくれる
家族や友人、職場の人などが、代わりに気持ち悪い虫を退治してくれる夢は、困ったときに、あなたを助けてくれる味方がいることを示しています。
ひとりで抱えこんできた悩みも、誰かに打ち明ければ、思いのほか早く片づきそうです。
夢に出てきたのが知っている人なら、その人こそが頼れる相手かもしれません。小さなことからでも、相談してみてはいかがでしょうか。
苦手だった虫が、平気になっている
いつもなら悲鳴をあげるような虫を前にしても、夢の中では不思議と平気だった場合は、あなたが、ひとつの苦手を乗り越えつつあることを示しています。
苦手な人との付き合い方や、自分の欠点との折り合いの付け方が、少しずつ身についてきたのでしょう。
苦手は、消えなくても、扱えるようになれば十分です。この夢を見たら、前の自分ならできなかったことに、ひとつ挑戦してみるのもよさそうです。
まとめ
気持ち悪い虫の夢は、あなたの心にまとわりつく、小さな悩みやストレスの積み重なりを映しています。
虫が大量に湧く夢や、体にまとわりつく夢は、気がかりが限界に近づいていることへの注意。ゴキブリや毛虫、見たことのない虫は、コンプレックスや、なじめない人間関係への意識を表しています。そして、自分で虫を退治する夢や、虫が平気になる夢は、苦手を乗り越えていく力が育っている兆しです。
見たくないものほど、目に飛び込んでくるのは、それだけあなたが真剣に気にかけているからでもあります。
夢の中の虫は、いまのあなたの、どんな「虫が好かない」ものに似ていたでしょうか。ひとつだけ思い浮かべて、手の届くところから片づけてみてください。
山あいの村で農業を学びはじめた女性が、腕をのぼってくる虫の夢にうなされながら、師匠の虫かごと村の虫送りを通して、胸に住みついた気がかりを送り出していく創作ストーリーを、こちらの夢物語にまとめました。
人がなぜ虫を気味悪く感じ、その苦手とどう付き合ってきたのか、昆虫学者ロックウッドのバッタの体験や、苦手を一回でやわらげるエストの治療法、腹の虫を描いた『針聞書』、田んぼの虫を村の外へ送る虫送り、カフカが表紙に描かせなかった『変身』の虫の話からもっと深く知りたい方は、こちらの夢ことほぎ記事もあわせて読んでみてください。
よくある質問
虫が大の苦手なのに、何度も虫の夢を見てしまいます。
苦手なものほど夢に出てくるのは、めずらしいことではありません。人の注意は、避けたいものにこそ引き寄せられやすく、眠っている間の心も、気になっているものを繰り返し映し出します。
同じ夢が続くときは、虫そのものより、最近の暮らしの中で「ぞわっ」とした場面がなかったかを振り返ってみてください。
苦手な人からの連絡や、片づかない用事など、夢の虫と同じ感覚を呼び起こすものが見つかれば、それを少し減らすだけで、夢の頻度も変わってくるはずです。
夢で虫を殺してしまい、罪悪感が残っています。
気持ち悪い虫を退治する夢は、夢占いでは、悩みの種を取りのぞけることを表す吉夢です。目覚めたあとに残った後ろめたさは、あなたが、小さな命にも心を配れる人である証拠でしょう。
夢の中の虫は、実際の生き物というより、あなたを悩ませていた問題の姿です。退治できたのは、その問題を終わらせる力が、あなたの中にあるということ。
後ろめたさが気になるなら、夢の中で手放したものに「ありがとう」と区切りをつけて、新しい一日に気持ちを向けてみてください。
