【夢ことほぎ】逆走の夢の心理学的意味|由来・背景

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【夢ことほぎ】逆走の夢の心理学的意味|由来・背景

逆走の夢が持つ基本的な意味や、逆走の場面ごとの読み解き方は、こちらの夢占い記事にまとめています。

この記事で見つめたいのは、「逆向きに進む」という行為そのものに秘められた、もうひとつの顔です。

逆走は、ふつうは危険で、避けるべきものとされます。けれど、心理学の研究や、世界に残る言い伝えをたどると、あえて逆からたどることが、人に新しい視点や力を与えてきたことも見えてきます。ゴールから逆にたどる計画の研究、後ろに一歩さがる実験、四国遍路の「逆打ち」、行ったり来たりしながら書かれた古代の文字、そして鏡の国の女王の言葉から、逆走の夢の奥をのぞいてみましょう。

ゴールから逆にたどると、やる気が高まる

北京大学の研究者ジュヨン・パクたちは、2017年に、目標に向けた計画の立て方をめぐる研究を発表しました。

参加した大学生たちは、試験勉強などの目標に向けて、計画を立てます。半分の人は、いまから始めて、次に何をするかを順番に考える「前向きの計画」。残りの半分の人は、目標を達成した日から始めて、その前に何をしておくべきかを、逆の順番でたどる「後ろ向きの計画」を立てました。

すると、後ろ向きに計画を立てた人たちのほうが、目標を達成できるという見込みが高く、やる気も強く、時間に追われる感覚も小さかったのです。実際の成績が上がった場合もありました。

研究者たちは、ゴールから逆にたどることで、やるべきことが、よりはっきり見えるようになるためだと考えました。とくに、手順の多い複雑な目標ほど、その効果が表れやすかったといいます。

一歩さがると、頭がさえる

オランダの大学の研究者セヴリン・コッホたちは、2009年に、体の動きが、集中力にどう影響するかを確かめた実験を発表しました。

参加者たちは、数歩、前に歩くか、後ろにさがるか、横に動くかしたあとで、文字の意味と色が食い違う言葉を見て、その文字の色を答える課題に取り組みます。「赤」という文字が青いインクで書かれているとき、「青」と答えるような、頭の切り替えが必要な課題です。

すると、後ろにさがった人たちが、とくに意味と色が食い違う難しい問題で、素早く答えられたのです。

研究者たちは、人は困難に直面したとき、身を引いて慎重になる経験を重ねてきたため、後ろにさがる動きそのものが、注意深く考える構えを呼び起こすのではないかと考えました。小さな実験のため、結果は慎重に受けとめる必要がありますが、「一歩さがって考える」という言葉には、体の実感が込められているのかもしれません。

逆からたどることの力

パクたちは、ゴールから逆にたどる計画が、道筋をはっきりさせ、やる気を高めることを示しました。コッホたちは、後ろにさがる動きが、慎重で柔軟な頭の働きを呼び覚ますことを確かめました。

逆走の夢を見たら、まず、あなたがたどり着きたい場所は、どこなのかを思い浮かべてみてください。

次に、その場所から逆にたどったとき、いまの自分が、どの地点に立っているのかを。

そして、ときには一歩さがって、進む方向そのものを見直す時間が、とれているかを確かめてみましょう。

四国遍路の「逆打ち」

弘法大師ゆかりの八十八か所の札所をめぐる四国遍路では、一番から順番にめぐることを「順打ち」、八十八番から逆にめぐることを「逆打ち」と呼びます。

逆打ちには、こんな言い伝えが残っています。伊予の国の長者、衛門三郎は、托鉢に訪れた僧を追い返した罪を悔い、その僧であった弘法大師に許しを請おうと、四国をめぐりはじめました。けれど、二十回めぐっても、大師に会うことはできません。

そこで二十一回目、三郎は、逆の順番でめぐることを思い立ちます。そして、十二番札所の焼山寺の近くで力尽きかけたとき、ついに大師が現れ、許しを与えたと伝えられています。

この言い伝えから、逆打ちは順打ちよりも功徳が大きいとされ、うるう年に逆打ちをすると、道中で大師に会えるともいわれるようになりました。

同じ道を、逆の向きからたどる。それは、追いかけていたものと、正面から出会うための方法でもあったのです。

行ったり来たりして書かれた、古代の文字

古代ギリシャの碑文の中には、一行目を左から右へ、二行目を右から左へ、三行目をまた左から右へと、折り返しながら書かれたものがあります。

この書き方は「ブストロフェドン」と呼ばれます。ギリシャ語で「牛が向きを変える」という意味です。畑を耕す牛が、端まで行くとくるりと向きを変え、次のうねを逆向きに進んでいく。その姿になぞらえた名前でした。

いまの私たちには、一行ごとに逆向きに読むのは不思議に思えます。けれど、行の端まで来た目を、反対側へ戻さずにそのまま読み進められる、理にかなった書き方だったとも考えられています。

逆向きに進むことは、必ずしも、流れを乱すことではありません。ときには、それがいちばん自然な進み方になることもあるのです。

「後ろ向きにしか働かない記憶なんて」

イギリスの作家ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』には、時間を逆向きに生きる白の女王が登場します。

女王は、自分の記憶は、前と後ろの両方に働くのだと話します。アリスが、自分は起きる前のことなんて思い出せないと答えると、女王はこう言うのです。

「後ろ向きにしか働かない記憶なんて、お粗末なものね」

その言葉どおり、女王は、このあと指に針を刺す前に悲鳴をあげ、実際に刺したときには、もう落ち着いていました。

過去しか振り返れない記憶は、たしかに少し不自由かもしれません。逆向きの世界の住人は、私たちに、先のことから今を見つめる視点を教えてくれているようです。

逆走の夢が伝えているもの

ゴールから逆にたどることで見えてくる、確かな道筋。そして、一歩さがることで呼び覚まされる、慎重で柔軟な頭の働き。

追いかけていた大師と出会うために、逆の順番でめぐった遍路の道。牛のように向きを変えながら書かれた、古代の文字。そして、先のことを思い出せる、鏡の国の女王。

逆走の夢は、いつもと逆の向きから物事を見つめなおしたとき、あなたが本当に向かいたい場所が、はっきりと見えてくることを伝えているのでしょう。

ここまでの内容をもとに、周りから「逆走じゃない?」と笑われた女性が、ゴールから逆にたどる計画を立て、一歩さがって相手の本音を見きわめながら、夢の中の対向車の顔が見えるようになるまでを描いた創作ストーリーは、こちらの夢物語で読むことができます。

よくある質問

夢の中で、なぜか時間が巻き戻っていました。

時計の針が逆に回り、出来事が逆の順番で起きていく夢は、過ぎたことを、もう一度たどりなおしたい気持ちを映している場合があります。

やり直したい場面や、言えなかったひと言が、心のどこかに引っかかっているのではないでしょうか。

白の女王の言葉のように、記憶は、後ろにも前にも働かせることができます。過去を悔やむためではなく、次にどうしたいかを決めるために、その場面を思い返してみてください。

遍路や巡礼の道を、逆向きに歩く夢でした。

巡礼の道を逆向きに歩く夢は、人と同じ順番ではなく、自分なりのやり方で、大切な何かに近づこうとしていることを表しています。

衛門三郎が逆打ちで大師に出会えたように、順番を変えることで、これまで会えなかった人や、見つからなかった答えに出会える時期なのかもしれません。

道中ですれ違った人の顔を覚えているなら、その人が、あなたにとって大切な手がかりを持っている可能性があります。

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