【夢ことほぎ】飲酒運転の夢の心理学的意味|由来・背景

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【夢ことほぎ】飲酒運転の夢の心理学的意味|由来・背景

ハンドルを握ってしばらく走ってから、自分がお酒を飲んでいたことに気づく。冷や汗をかきながら運転を続け、目を覚まして「夢でよかった」と大きく息をつく。飲酒運転の夢には、そんな独特の後味があります。現実では決してしないと決めていることを、夢の中ではなぜかやってしまう。その「なぜ」の手がかりを、夢の研究と、この国が飲酒運転とどう向き合ってきたかの歩みからたどってみましょう。

場面ごとの夢の意味は、飲酒運転の夢の夢占い記事にまとめています。

「やってしまった」と目覚める夢

アメリカの心理学者ジョン・F・ケリーとクレア・グリーンは、全米の成人およそ3万9千人を対象にした調査から、お酒や薬物の問題を乗り越えた人たち約2,000人の回答を分析しました。2019年に発表されたこの研究で、回復の途中で「また飲んでしまう夢」を見たことがある人は、約3人に1人にのぼりました。

その夢には、よく似た流れがありました。夢の中でお酒を口にしてしまい、「まさか」と信じられない気持ちになる。目を覚ました直後は、強い恐れや罪悪感、後悔に襲われる。そして夢だったとわかって、心からほっとするのです。

こうした夢は、断酒を続けた期間が長くなるほど、少しずつ見なくなっていくこともわかりました。

この研究は、お酒をやめた人たちを調べたものです。それでも、「自分で固く決めたことを、夢の中で破ってしまう」という形は、多くの人の飲酒運転の夢とよく重なります。守りたい決まりがあるからこそ、心は眠りの中で、それを破った場面を何度も確かめてしまうのでしょう。

anima
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夢の中でだけ決まりを破ってしまうのは、不思議なことじゃないの。

破った場面に青ざめるくらい、あなたはその決まりを大切にしているのね。

お酒を飲んだ夜の眠り

素焼きの徳利とぐい呑み

お酒を飲んだ夜に、妙に生々しい夢で目を覚ました経験がある人もいるかもしれません。

イギリスの睡眠研究者イルシャード・エブラヒムらは、2013年、お酒と睡眠に関するそれまでの研究をまとめて報告しました。それによると、寝る前のお酒は寝つきを早め、夜の前半の深い眠りを増やします。その一方で、夢を見ることが多いレム睡眠は、夜の前半に減ってしまいます。

研究チームは、寝つきがよくなる効果は、夜の後半の眠りの乱れによって打ち消されてしまうと指摘しています。「寝酒でぐっすり」は、じつは前半だけの話なのです。

疲れた日にお酒の力を借りて眠り、浅い眠りの中で飲酒運転の夢を見る。夢の中のお酒は、現実の夜の過ごし方と、案外近いところでつながっているのかもしれません。

社会が「乗るなら飲むな」を本気で問うまで

いまでこそ「飲んだら乗るな」は当たり前の言葉ですが、日本の社会が飲酒運転をはっきりと許さなくなったのは、それほど昔のことではありません。

1999年11月28日、東名高速道路で、飲酒運転の大型トラックが乗用車に追突しました。後部座席にいた3歳と1歳の姉妹は、炎の中から逃げられずに亡くなりました。加害者への判決は懲役4年。両親の井上保孝さんと郁美さんは、悪質な運転にふさわしい罰をと街頭で署名を集め、全国から寄せられた署名は37万4,339筆に達しました。

事故からちょうど2年後の2001年11月28日、危険運転致死傷罪を新しく設ける刑法の改正が、国会で成立します。お酒の影響で正常な運転が難しい状態で人を死傷させた場合などを、重く罰するための法律です。

2006年8月25日には、福岡市の海の中道大橋で、飲酒運転の車に追突された車が海に落ち、幼い3人のきょうだいが亡くなりました。翌2007年9月19日に施行された道路交通法の改正では、運転した本人だけでなく、車を貸した人、お酒を出した人、頼んで同乗した人まで罰せられるようになりました。福岡県では今も、毎年8月25日からの一週間を「飲酒運転撲滅週間」としています。

そして2026年7月には、自動車運転死傷処罰法の改正が施行され、体に残るアルコールの量が一定以上なら、一律に危険運転致死傷罪の対象になりました。

飲酒運転は、運転する人ひとりの問題ではなく、周りの人も一緒に止めるべきもの。この国は、失われた命と遺された人たちの声によって、少しずつそう考えるようになってきたのです。

anima
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止める側にまわるのも、勇気がいることよね。

でも「今日は乗らないで」のひと言が、誰かの明日を守るの。

夢に戻る

また飲んでしまう夢から目覚めてほっとする人たち。お酒の力を借りた夜の、乱れた眠り。そして、ハンドルを握る人だけでなく、隣に座る人やお酒を出す人にも責任を求めるようになった社会。

飲酒運転の夢で目を覚ましたときの、あの冷や汗と安堵は、あなたの中に「これだけは守る」という線が、しっかり引かれていることのしるしです。夢の中で助手席に誰かがいたなら、その線はあなたひとりのものではなく、周りの人と一緒に守っているものなのでしょう。目が覚めたら、最近の自分が何かを「勢いで」決めていないか、一度だけ振り返ってみてください。

金曜の夜ごとに白いミニバンを運転する、運転代行の男。

検問の夢から始まる、少しおかしくて静かな物語はこちらの夢物語で読むことができます。

参考文献

  • Kelly, J. F., & Greene, M. C.(2019)”The reality of drinking and drug using dreams: A study of the prevalence, predictors, and decay with time in recovery in a national sample of U.S. adults.” Journal of Substance Abuse Treatment, 96, 12–17.
  • Ebrahim, I. O., Shapiro, C. M., Williams, A. J., & Fenwick, P. B.(2013)”Alcohol and sleep I: Effects on normal sleep.” Alcoholism: Clinical and Experimental Research, 37(4), 539–549.
  • 警察庁「平成23年度『犯罪被害者週間』国民のつどい実施報告 鹿児島大会:基調講演」(https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/kou-kei/houkoku_h23/kagoshima_giji_kicho.html)
  • 警視庁「飲酒運転の罰則等」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/torishimari/inshu_info/inshu_bassoku.html)
  • 警視庁「酒類提供の飲食店、酒類販売店の方へ」(https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/torishimari/inshu_info/for_liquor_store.html)
  • 北九州市門司区役所「『飲酒運転撲滅キャンペーン』の啓発活動を実施しました」(https://www.city.kitakyushu.lg.jp/moji/w1100605.html)
  • 法務省「危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)の法改正 Q&A」(https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji12_00239.html)
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