夢物語

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【夢物語】遅れてくれた道連れ|亀の夢

約束の時間に遅れそうで、私は浜辺の道を急いでいた。潮の匂いが強くなるほど焦りも増していく。走りたいのに、足元は柔らかい砂に取られて、思うように進めない。腕時計を確認するたび、針は容赦なく進んでいるように見えた。そのとき、進行方向の真ん中に、...
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【夢物語】稲妻が並べたもの|雷の夢

夜、机に向かったまま、いつの間にか眠っていたらしい。気づくと、私は見知らぬ丘の上に立っていた。低く垂れこめた雲が、地平線までずっと続いている。もう何日も、答えの出ない問いを抱えたままだった。進むべきか、留まるべきか。決めなければいけないと分...
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【夢物語】狐火の道|狐の夢

気づくと、見慣れない夜道を歩いていた。久しぶりに会う約束をしていた人がいて、その時間に遅れそうで、息が切れていた。いつもの近道のはずなのに、街灯もまばらな、田んぼのあぜ道のような小道に迷い込んでいる。土と夜露のにおいが、やけに生々しく鼻をか...
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【夢物語】雨上がりに、届くもの|虹の夢

深夜、目が覚める少し前の夢は、ずっと降り続く雨の中にいた。隣にいたはずの誰かは、気づけばずっと遠くにいて、私の傘の内側には入ってこようとしない。声をかけようとしても、雨音にかき消されて、言葉がちゃんと届いている気がしなかった。 いつからだろ...
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【夢物語】鏡の中の、まばたき|鏡の夢

祖母の部屋の隅に、古い姿見があった。 金の縁飾りは所々くすみ、ガラスの端には細かな傷が走っている。子どものころから、なんとなく近づきたくない鏡だった。 なのに夢の中の私は、吸い寄せられるように、その前に立っていた。 最近の私は、鏡を見るとき...
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【夢物語】龍が守っていたもの|龍・ドラゴンの夢

深い霧の底を、ひとりで歩いていた。足もとの感触だけが頼りで、視界は乳白色に閉ざされている。どこか遠くで、ひくく低い息づかいのようなものが響いていた。獣のものにしては大きすぎる、山そのものが呼吸しているような音。私は、その音に導かれるようにゆ...
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【連載】夢見町の案内人 ― 白藤の残夢 ― 第九話 夏の火の匂い

朝、窓を開けた瞬間、文花は思わず息を止めた。火の匂いがした。近くで何か燃やしているわけではない。煙も見えないし、空も澄んでいる。それなのに、風の奥に、乾いた火の匂いだけが薄く混じっていた。線香とも違う。焚き火とも少し違う。もっと遠くて、もっ...
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【連載】夢見町の案内人 ― 白藤の残夢 ― 第八話 彼女はずっと、そこにいた

朝から、文花は落ち着かなかった。あの席の方を、よく見てあげて。昨夜、店を出る直前にAnimaが置いたその一言が、眠りの浅い時間の底で何度も静かに鳴っていた。窓際の男のことだろうか。それとも、本を読む女のほうだろうか。思い返そうとすると、どち...
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【連載】夢見町の案内人 ― 白藤の残夢 ― 第七話 帰っていないのは

その夜、文花はほとんど眠れなかった。夢を見た気はする。けれど、目が覚めたときには、その中身はきれいに流れ去っていた。ただ、家の近くの細い路地を、誰かのあとから歩いていたような感覚だけが残っている。橋ではなかった。白い影も、声も、夢の中にはな...
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【連載】夢見町の案内人 ― 白藤の残夢 ― 第六話 欠けた夢日記

朝、目を開けたとき、最初に視界へ入ってきたのは、膝の上のノートだった。昨夜、古い箱の底から見つけて、布団に持ち込んだまま眠ってしまったらしい。薄いクリーム色の表紙はすっかり褪せ、角は丸く擦り切れている。端のほうにだけ、白藤の花房に似た淡い模...
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【連載】夢見町の案内人 ― 白藤の残夢 ―第四話 白藤写真館

朝の机の上に、昨夜拾った写真片が置かれていた。夢の中のものは、目が覚めればたいてい輪郭を失う。なのに、それは薄い朝の光の中でちゃんと紙の重さを持っていて、かえって現実のほうが少し頼りなく思えた。文花は指先でその縁をなぞった。古い写真独特の、...
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【連載】夢見町の案内人 ― 白藤の残夢 ― 第三話 水鏡橋の夢

朝、目を覚ましたとき、喉の奥にまだ水の冷たさが残っていた。部屋はもう明るくなっていて、障子の向こうでは鳥の声までしているのに、わたしの中だけが薄い水底に沈んだままみたいだった。夢の景色ははっきり思い出せない。ただ、古い橋の欄干と、黒い水のゆ...
夢見町の案内人

【連載】夢見町の案内人― 白藤の残夢 ― 第二話 Golden Anima の灯

翌日の午後になっても、あの言葉は胸の奥に残っていた。――まだ、わたしは帰れていない。朝、目を覚ましたときには夢の輪郭はもう薄れていたのに、その一文だけは、水に濡れた紙みたいにぴたりと心に貼りついて、離れなかった。台所で母が味噌汁をよそってい...
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【夢物語】搬出予定|クレーンの夢

夢占い クレーン 最初に運ばれたのは、わたしの鞄だった。 夢の中のことだ。 更地の向こうに、夜の工事現場があった。建設途中のビルの骨組みのあいだから、長いクレーンのアームだけが空へ伸びている。 先端の赤い灯が、暗い空気の中でゆっくり点滅して...
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【夢物語】白紙答案|壊す夢

夢占い 塾anima 結婚を前にした春、彼女は塾で小テストを受ける夢を繰り返し見る。 書いた答えは次々と消え、返された答案には、赤字でひとことだけ残される。 ――あなたの答えは、まだあなたのものになっていません。 その夢は、いつも小テストか...
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【夢物語】宛先・届くはずのない警告は、いちばん近い場所で鳴っていた。|赤ちゃんが死ぬ夢

夢占い 赤ちゃんanima 妹の健診を控えた朝、奈緒は名もない不穏を残す夢を見る。 誰かに降りかかる異変の予兆と思われたその警告は、連絡の空白をたどるうち、やがて向きを変え、彼女自身の危うさへと静かに届いていく。  赤ちゃんが死ぬ夢をテーマ...
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【夢物語】ひびの音を、まだ知らない|壊れる夢

夢占い 壊れるうん、嬉しい。そこが伝わったなら、もうだいぶ近いね。私も、あの方向に寄せたほうがこの話はきれいに立つと思う。今回は、感情を少し引いて、しぐさや音や間で見せるほうへ改稿してみたよ。とくに終盤は、言い切らずに残す感じを意識した。た...
夢見町の案内人

【連載】夢見町の案内人 ― 白藤の残夢 ― 第一話 宵待駅の黒猫

帰ってきた、と思うには、宵待町は少し静かすぎた。電車が駅へ滑り込むあいだ、わたしは窓に映る自分の顔をぼんやり見ていた。東京を出る朝には、もう少し肩の力が抜けるのかと思っていた。けれど実際はそんなこともなく、スマホの通知を開く気にもなれないま...
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【夢物語】ふたつ目のパン|パンの夢

夢占い パンanima 夢の中にあらわれるパンは、日々を支える糧であると同時に、誰かと食べるよろこびや、身近な人への愛情を映すものともいわれています。 とくに印象に残るパンの夢は、暮らしのぬくもりや、まだ言葉になっていない気持ちを、そっと手...
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【夢物語】朝焼けのホームで会うひと|正夢

その夢を、彼女は三度見た。まだ空の色が夜に近い朝、誰もいない小さな駅のホームに、自分ひとりだけが立っている。白い息が、薄青い空気のなかへほどけるたび、遠くの線路がかすかに光って見えた。左手には、古い木のベンチ。右手には、白い自動販売機。そし...