
かわいがる夢が持つ基本的な意味については、こちらの夢占い記事で解説しています。
この記事では、なぜ何かをかわいがる場面が、夢の中で、相手のためであると同時に、自分自身の心まで温かく満たすのかを、ぬくもりを求める心と、与えることで満たされる心を見つめた二つの研究と、日本の人々が生き物をいとおしんできた歴史から、掘り下げてみます。
子ザルが選んだ、布の母親
一つ目の視点は、アメリカの心理学者ハリー・ハーロウです。ハーロウは1950年代、生まれたばかりの子ザルを、二種類の「人形の母親」と一緒に育てる実験を行いました。
一つは、針金でできていて、ミルクの出る哺乳瓶がついた母親。もう一つは、ミルクは出ないけれど、やわらかい布でくるまれた母親です。
すると子ザルたちは、ミルクを飲むとき以外のほとんどの時間を、布の母親にしがみついて過ごしました。
怖いものを見たときに逃げこむのも、布の母親のほうでした。生き物にとって、やわらかなぬくもりに包まれることは、食べ物と同じくらい大切な、心の栄養だったのです。
誰かのためにお金を使うと、幸せになる
二つ目の視点は、カナダの心理学者エリザベス・ダンらです。ダンらは2008年、人々にお金を渡し、ある人たちには自分のために、別の人たちには誰かへの贈り物や寄付のために使ってもらいました。
その日の終わりに気持ちを尋ねると、自分のためではなく、誰かのためにお金を使った人のほうが、幸福感が高かったのです。
人は、受け取るときだけでなく、誰かに何かを与えるときにも、心を満たされるようにできていることが示されました。
ハーロウが「ぬくもりに包まれたいと願う心」に目を向けたのに対して、ダンらは「誰かに与えることで満たされる心」に目を向けたといえるでしょう。
ぬくもりに包まれる夢、喜ばせる夢
かわいがる夢で、やわらかな毛並みや、抱きしめたときのぬくもりが印象に残っていたなら、あなたの心は、いま、包まれる安心を求めているのかもしれません。
相手が喜ぶ姿に、胸がいっぱいになっていたなら、誰かのために何かをしたいという優しさが、あふれているのかもしれません。
では、日本の人々は、生き物をどのようにかわいがってきたのでしょうか。
雀の子を逃がされて泣いた少女
平安時代の『源氏物語』の「若紫」の巻には、のちに光源氏の妻となる、幼い紫の上が初めて登場する場面があります。
少女は、泣きながら駆けてきて、こう訴えました。「雀の子を犬君(いぬき)が逃がしつる。伏籠のうちに籠めたりつるものを」。
かごの中で大切に飼っていた雀の子を、遊び相手の女の子が逃がしてしまったというのです。千年前の少女も、小さな生き物を手もとに置いて、いとおしんでいたのでした。
「生類憐れみの令」と命を慈しむ心
一方、江戸時代には、五代将軍の徳川綱吉が「生類憐れみの令」と呼ばれる一連のお触れを出し、犬をはじめとする生き物を大切にするよう命じました。
犬を傷つけた者が重く罰せられたこともあり、綱吉は「犬公方」と呼ばれて、人々を困らせた面もあったといわれます。
けれど、捨て子や病人、旅先で倒れた人を保護するよう定めたお触れもふくまれていて、命あるものを慈しむという考えが、広く世に示されたことも確かでした。
かわいがる心は、ときに行きすぎることもありながら、人の世をやわらかくしてきたのです。
恩を返した猫と、かわいがる夢
かわいがられた生き物が、恩を返したという言い伝えもあります。東京の豪徳寺には、招き猫の始まりの一つとされる話が伝わっています。江戸時代のはじめ、貧しい寺の和尚は、自分の食べ物を分けてまで、一匹の猫をかわいがっていました。
ある日、鷹狩りの帰りに寺の前を通りかかった彦根藩主の井伊直孝が、門前で手招きをする猫に誘われて寺に立ち寄ると、まもなく激しい雷雨が降り出しました。難を逃れた直孝は、和尚の話に心を打たれ、のちにこの寺を手厚く支えるようになったといいます。
ぬくもりに包まれたいと願う心と、誰かに与えることで満たされる心。かごの雀の子を惜しんで泣いた少女と、命を慈しむよう説いたお触れ。かわいがる夢は、あなたがいま、誰のぬくもりを求め、そして誰に、どんな優しさを注ぎたいと願っているのかを、そっと問いかけているのかもしれません。
ここまでの内容をもとにした創作ストーリーは、こちらの夢物語でお楽しみいただけます。
よくある質問
かわいがる夢で、動物の毛並みのやわらかさが忘れられません。
動物の毛並みのやわらかさが心に残る夢は、あなたの心が、ぬくもりに包まれる安心を求めていることの表れと読むことができます。
ハーロウの実験が示すように、やわらかなぬくもりは、生き物にとって大切な心の栄養です。肌ざわりのよい毛布にくるまる、温かいお風呂にゆっくりつかるなど、体で感じられるぬくもりを、毎日の中に取り入れてみてください。
夢の中で、かわいがった相手が喜んでくれて幸せでした。
かわいがった相手が喜んでくれて幸せを感じた夢は、あなたの中に、誰かのために何かをしたいという優しさが育っていることの表れと読むことができます。
ダンらの研究が示すように、人は、与えることでも心を満たされるものです。身近な人に、小さな贈り物や手助けをしてみてください。
相手の笑顔が、あなたの心をいちばん温めてくれるはずです。
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