
夜、机に向かったまま、いつの間にか眠っていたらしい。
気づくと、私は見知らぬ丘の上に立っていた。低く垂れこめた雲が、地平線までずっと続いている。
もう何日も、答えの出ない問いを抱えたままだった。
進むべきか、留まるべきか。
決めなければいけないと分かっているのに、考えれば考えるほど、頭の中の断片はばらばらのまま散らばっていくばかりで、どうしても一枚の絵にならない。
丘の上には、私のほかに誰もいなかった。
風が、乾いた草を静かに揺らしている。私は膝を抱えて座り込み、もう何度目かも分からない同じ考えを、また最初からなぞり始めていた。
あれと、これと、それから——。
遠くで、空が一度、白く光った。
音はまだ届かない。光と音のあいだに、わずかな間がある。その静けさの中で、私はまだ、自分の中でまとまらない考えを、ひとつひとつ確かめるように思い浮かべていた。
まるで、大きな何かが、こちらの様子をじっと見ているような気配がした。
次の瞬間、耳をつんざくような音が、丘全体を揺らした。
驚いて、体がびくりと跳ねる。心臓が、どくどくと音を立てる。
けれど、その衝撃の中で、頭の中に散らばっていた考えの断片が、まるで示し合わせたように、かちり、かちりと音を立てて並んでいくのが分かった。
ああ、そうか。
声にならない声が、喉の奥からこぼれた。
ずっと探していた答えは、遠くにあったのではなかった。
最初から、私の中に全部揃っていたのだ。ただ、それに気づくための、ほんの小さなきっかけが足りなかっただけで。
もう一度、空が光った。今度は、恐ろしいとは思わなかった。
むしろ、その光を、少し待ち構えるような気持ちで見上げていた。
丘の上でひとり、雷に打たれたわけでもないのに、体の芯のほうから、何かがゆっくりとほどけていくのを感じていた。
雷は、遠ざかっていくたびに、少しずつ和らいでいった。
雨の匂いが、湿った風に乗って流れてくる。丘の上に立ったまま、私は自分の中に浮かび上がってきた答えを、静かに、何度も確かめていた。
目が覚めたとき、部屋はまだ暗かった。
けれど、さっきまで頭の中で渦を巻いていた迷いは、不思議なくらい静かになっていた。
机の上には、書きかけのまま放置していたメモが、そのままの形で置かれている。私はペンを取り、丘の上で見えていた答えを、ゆっくりと書きつけていく。
手を止めて、もう一度、窓の外に目をやった。雨は、もう止んでいるようだった。
雷は、何かを壊すためにやってくるのではないのかもしれない。
ばらばらだったものを、一瞬でつなぎ合わせるために、光るのかもしれない。
そう思いながら、私は書き終えたメモを、そっと胸に抱くようにして、朝の気配が近づいてくるのを待っていた。

答えって、遠くから運ばれてくるものだと思いがちだけど。本当は、ずっとあなたの中にいて、光るきっかけを待っているだけなのかもしれないわね。
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