夢物語

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【夢物語】窓辺のモンステラ|観葉植物の夢

わたしは、モンステラ。この部屋の窓辺に来て、もうすぐ一年になる。わたしを連れてきたのは、遥という名前の女の人だ。去年の春、駅前の花屋で、まだ小さかったわたしを見つけて、少し迷ってから、抱えて帰ってくれた。あの日の遥は、目のまわりが赤かった。...
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【夢物語】十六分間の一周|観覧車の夢

夢の中で、沙織は、観覧車のゴンドラに一人で座っていた。ゴンドラは、ゆっくりと空へ上っていく。けれど、頂上に着いたところで、がくん、と止まった。いくら待っても、動き出さない。眼下には、真っ暗な街が広がっていた。明かりは、一つも見えなかった。―...
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【夢物語】雪の上の足あと|漢字の夢

夢の中で、おいらは、まっさらな雪の原っぱに立っていた。雪の上を、小さな鳥たちが、ちょんちょんと跳ねていく。そのあとには、細い足あとが、いくつも残っていた。じっと見ていると、足あとは、するすると形を変えて、何かの字になろうとしている。けれど、...
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【夢物語】三塁側の隣人|観戦する夢

夢の中で、私は、満員のスタジアムの観客席にいた。九回裏、ツーアウト満塁。打席には、我らが湊シーガルズの四番。私は、青いタオルを握りしめて立ち上がった。打球が、高く高く舞い上がる。入れ、入れ、入れ。そのとき、隣の席の男が、赤いメガホンを振り回...
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【夢物語】二〇七六年の桃|缶詰の夢

夢の中で、私は、銀色の缶を両手で握りしめていた。缶は、手のひらにずっしりと重い。ふたのプルタブに指をかけて、力をこめる。けれど、どれだけ引っぱっても、ふたはびくともしなかった。缶の中で、何かが、とぷん、と揺れる音がした。開けて、と誰かが言っ...
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【夢物語】縄文杉の前で|感動する夢

夢の中で、私は、見上げるほど大きな木の前に立っていた。幹は、何人もの大人が手をつないでも囲めないほど太く、こぶだらけの肌には、深いしわが刻まれている。枝のあいだから、霧がゆっくりと流れていく。美しい、と頭では分かっていた。けれど、心は、ぴく...
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【夢物語】子牛を担ぐ夜|筋トレの夢

夢の中で澄江は子牛を担いでいた。生まれたばかりの茶色い子牛だった。細い脚をだらりと垂らし、澄江の肩の上で静かに鼻を鳴らしている。見覚えのない草原の坂道を、澄江はその子牛を担いで一歩ずつのぼっていた。重くはなかった。七十二歳の肩でもまだなんと...
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【夢物語】高度三万六千キロの密室|エレベーターの夢

夢の中で、私は小さなエレベーターに乗っていた。乗っているのは、知らない人ばかり。誰も口をきかない。みんな、扉の上の数字だけを、じっと見つめている。私も、同じように数字を見つめた。数字が、どんどん増えていく。十、百、千。いつまでたっても、止ま...
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【夢物語】選抜されなかった朝|選ばれる夢

夢の中で、私は大きな舞台の真ん中に立っていた。まぶしいスポットライト。どこからか、私の名前を呼ぶ声が響く。「今年の代表は――灯里」。拍手が、波のように押し寄せてくる。胸が高鳴った。けれど、客席に目を向けたとき、背筋が冷たくなった。客席の人た...
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【夢物語】選択代行、本日休業|選ぶ夢

夢の中で、私は果てしなく続く棚の前に立っていた。棚には、色とりどりのジャムの瓶が、地平線の向こうまで並んでいる。いちご、ブルーベリー、マーマレード、見たこともない紫色のもの。一つ選ばなければ、と思うのに、手を伸ばすたびに、隣の瓶のほうがおい...
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【夢物語】地下へ続く表示|エレベーターが落ちる夢

最初の夜、エレベーターは一階で止まらなかった。十四階から乗った箱は、いつもどおり静かに下りていった。扉の上の表示が、十二、十一、十と変わっていく。三、二、一。ここで止まるはずだった。けれど、表示はそのまま、ひとつ下へと変わった。B1。私の住...
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【夢物語】くるくるの線|絵を描く夢

夢の中で、私は大きな白い画用紙の前に座っていた。手には、よく削った鉛筆。描きたいものは、ちゃんと頭の中にある。窓辺に咲く花、湯気の立つマグカップ、眠っている猫。それなのに、鉛筆の先を紙に近づけると、手がぴたりと止まってしまう。ようやく一本、...
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【夢物語】幹事の取り皿|宴会の夢

夢の中で、僕は大広間の宴会に出ていた。長いテーブルに、ごちそうがずらりと並んでいる。お造り、天ぷら、湯気を立てる鍋。みんなが楽しそうに笑い、グラスを合わせていた。けれど、僕の席だけは、テーブルから少し離れたところにあった。料理の大皿が、手か...
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【夢物語】はんぶんこのおやつ|遠足の夢

あしたは、まちにまった遠足の日です。はるとは、ふとんの中で、なんども目をあけました。まくらもとには、ぱんぱんにふくらんだ青いリュックサック。中には、おかあさんがつくってくれるおべんとうばこと、水とう、それから、きのう、だがしやさんで三十分も...
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【夢物語】天神さまの梅|冤罪の夢

夢の中で、私は法廷の真ん中に立っていた。高い席から、裁判官が見下ろしている。その顔は、すりガラスの向こうにあるようにぼやけていて、表情が分からない。「被告人は、取引先への大切な連絡を怠り、会社に損害を与えた。認めますか」私は、そんなことはし...
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【夢物語】松の湯の煙突|煙突の夢

夢の中で、私は、子どものころに通った銭湯「松の湯」の釜場に立っていた。大きな釜の中で、薪が赤々と燃えている。けれど、その煙は、どこにも出ていかなかった。天井のあたりにたまった黒い煙が、少しずつ下りてきて、私の足もとまで広がっていく。外を見上...
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【夢物語】くぐる向き|縁を切る夢

夢の中で、私の左手の小指には、赤い糸が結ばれていた。糸は、暗い部屋の奥へと伸びている。その先にいるのが誰なのか、私は知っていた。手には、銀色のはさみ。糸に刃を当てて、ぷつりと切る。けれど、切ったはずの糸は、するすると伸びて、また結び目をつく...
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【夢物語】消さない線|鉛筆の夢

夢の中で、私は鉛筆を握って、白い壁の前に立っていた。壁に、そっと一本の線を引く。線は、ゆるやかなカーブを描いて、どこまでも伸びていった。肩の丸み。首すじ。耳のうしろの、やわらかなくぼみ。気づくと、私が描いていたのは、壁ではなかった。誰かの、...
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【夢物語】ひと晩おいた鍋|カレーの夢

夢の中で、僕は実家の台所の前に立っていた。コンロの上で、大きな鍋がことこと鳴っている。玄関まで漂ってくる、甘くて、少しスパイスのきいた匂い。母さんのカレーの匂いだった。「ご飯よ」母さんの声がして、僕はテーブルについた。湯気の立つ皿に、大きな...
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【夢物語】裏返しのTシャツ|彼氏の夢

夢の中で、湊が、私の少し前を歩いていた。見慣れた紺色のパーカー。少し猫背の背中。名前を呼んでも、湊は振り向かない。足を速めても、なぜか距離は縮まらなかった。「湊」もう一度呼んだところで、目が覚めた。付き合って、三年になる。湊は、半年前に大き...